肆拾話 ページ2
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そしてハングライダーを乗りながら暗殺、そして他の班に目がいかないように陽動することになったのはいいけど…。
「ずりーよ殺せんせー!!動力の性能が違いすぎ!!」
「ヌルフフフ、戦闘機の性能は結局のところエンジンの差です」
まぁそうだけど…生徒の暗殺相手に人間が絶対不可能な垂直旋回とか左捻り込みとかやめて欲しいなぁ。
それより次は茅野さんの班だっけ。そろそろ連絡入れとくかな。
「茅野さん、もう少しでそっちにせんせい行くからよろしくね」
「おっけー、りょうかい!」
無線機から通信を繋げて口元にそれを持って行って喋る。
しばらくすると雑音と共に茅野さんの元気な返事が聞こえた。それがなんだか微笑ましくて少し笑ってから切った。
そしてうちの班の遊びは終了。すぐさま太宰さんに駆け寄った。
「太宰さん」
「どうかしたのかい?」
「コレ、持っててくれませんか?」
太宰さんの手に渡したのは拳銃。対せんせい用じゃなくて人間を殺すための。
「へぇ…撃たない気かい?」
「よっぽどのことが無い限りですけどね。ある程度は
バレちゃ困るからね。
糸の速さを秒速にするくらい可能だし、太宰さんにも言った通りよっぽどのことが無い限り撃つ気はない。
「あ、ナイフは持ってますよ」
「なら安心だね、体術の方も中也とやってきたみたいだし」
「……」
なんで知ってるんですか、そう言いたくなるのを抑える。ここで聞いたら太宰さんの思うツボな気がして。クルクルと左手で回したナイフを太もものホルダーに直して皆の元へとゆっくり歩いて行った。
「いやぁ、遊んだ遊んだ。おかげで真っ黒に焼けました」
「焼けすぎだろ!!」
恒例になりつつある皆のツッコミを聞いてひと笑い。確かに黒くて表情すら読み取れない。
「じゃ、殺せんせー。メシの後に暗殺なんでまずはレストラン行きましょう」
まるで生徒みたいに触手を上げて返事をするせんせいはどこからどう見ても浮かれている。
気が緩んでいる今なら、と考えて対せんせい用ナイフに手を伸ばすも柔らかな感触が手に触れてから握るのを辞める。
殺意を伴っていないにしてもきっと当たらない、それに今回ばかりはいいかなぁなんて甘い考えを持っちゃった。
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たびのひと - はじめまして!とても面白いです!一日で全部読んじゃいました!更新待ってます! (2020年5月18日 23時) (レス) id: 06a128996a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カノ | 作成日時:2020年1月12日 2時