11話 ページ11
錆兎side
遅い。
遅すぎる。
鱗滝さんもなんだかソワソワしている。心配しているのだろう。それもそのはず、愛弟子の帰りが遅いのだ。
心配にもなるはずだ。
仕方がない。きっと何処かで鍛錬をやってそれでやり過ぎて動けない、そんな所だろう。彼奴は自分を追い詰めるタイプだからな
錆兎「Aを迎えに行ってきます。」
鱗滝「あぁ」
・
・
・
錆兎「A、どうした?」
Aが地面に座ってたから俺は話し掛けた。
するとAは幽霊でも見たかのように
『さ、びと……?』
って酷く掠れた声で言ったから俺は何故座ってるのかも聞かずに
錆兎「あぁ、俺だぞ?」
普通に答えてしまった。
『頭、砕けてない………??』
急に可笑しい事を言い出した。
いまさっきからずっと可笑しい。朝は普通だったのに。
もしかして体の調子が悪いのか?
『ホントに時が戻ったとでも言うの…………?』
やっぱり可笑しい。時が戻るはずはない。やはり熱が有るのだろう。
錆兎「どうしたんだ、具合でも悪いのか???具合が悪いのなら明日の最終選別はまた来年に………」
『なっ、何でもない!コケちゃってさ!』
錆兎「そうか?ならいいんだが………俺はお前が心配だよ。」
『ッ………!!錆兎!!待って!!』
錆兎「どうした?鍛錬ならもう充分にやったと思うんだが………?」
『明日の最終選別、私を守って欲しいの。』
錆兎「どうした?怖気付いたか?」
冗談のつもりで、きっとAはぷんすか怒って言い返して来ただろう。けど……今は
『うん、だからね!私から離れないでね!』
俺は吃驚した。Aは極度の負けず嫌い。
だから、俺はAから『離れないで』なんてことは聞いたこと無かった。無理をして、いっつも怪我をして帰ってくる。
こいつの事が心配だった。
だけど今は頼ってくれている。嬉しいが様子が可笑しい。
だから、いつの間にか口に出ていた
錆兎「負けず嫌いのお前が認めるとは………急にどうしたんだ?大丈夫か?」
俺は少し過保護なのかもしれないな。
でも、今のこいつは何処かへフラフラと行ってしまいそうだ。
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瑠偉(ルイ) - 頑張って下さい! (2020年3月12日 14時) (レス) id: fd731e3884 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まな | 作成日時:2019年12月23日 7時