無個性の妹【ヒロアカ】【歌い手】 (ページ10)

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Part3 ページ10

俺の怒鳴り声を寝て居た葵以外は全員聞いて居た。
そして、俺以外の奴も話を聞いて怒った。
そして、まふが急に叫んだ。

「そらるさん！此奴、保育園の頃の奴じゃないなですか？！」
「あー……こんな奴が葵の兄貴とか……葵が可哀想」
「っ！……ぅあ、あぁぁあああぁあ！」

俺たちがそんな事を言って居ると、緑が泣き始めた。
チッ、うっせぇなぁ……

「葵が起きるじゃねぇか、さっさと消えろ」

俺が緑に個性を使おうとすると、愛しい人の制止の声が聞こえた。

「そらる、ダメだよ。落ち着いて？」

俺たちは、一斉に声のする方向に振り向いた。

『葵！/葵さん！』
「心配かけてごめんね？ほら、おいで」

その合図とともに、緑以外のその場に居た全員は、葵に飛び付いた。

「ったく、溜め込むなよ」
「葵さん、良かったです～！」
「大丈夫か？」
「葵さん～！心配しました～！」
「葵さん、本当良かった……」
「相談してよ～！」

上から、俺、まふ、うらた、坂田、天月、96猫の順だ。
葵はそんな俺たちに埋もれ、個性を使いながら、幸せそうに言った。

「ありがとう、みんな」

その笑顔は、とても綺麗だった。

出久side

嘘だ。
これは何かの間違いだ。
葵を返せ、僕の妹なんだぞ。
僕は、知らない子達に囲まれて居る葵に対して言った。
葵は良い子なんだ。
僕が言ったら、きっと帰って来てくれる。

「葵、一緒に帰ろ？」

でも、葵は信じられない言葉を言った。

「ぃ、ぃや」
「な、なんで？！」

僕は葵に近づこうとした。
でも、保育園の時に一緒だった一ノ瀬君と、相川君が、僕の前に立ちはだかった。
一ノ瀬君の個性は氷の個性で、かっちゃんに負けないくらい強かった。
相川君の個性は未来予知の個性で、一ノ瀬君とのコンビは凄かった。
もし、奇跡的にこの二人に勝てたとしても、他にも四人いる。
僕は、後退りしそうになった。

「葵、なんで？一緒に帰ろ？ね？」
「ゃ、絶対、帰らなぃ。そらる達と、ぃる」

葵はそう言って、一ノ瀬君に抱き着いた。
なんで？
僕には、抱き着いてくれないじゃないか。
僕には、あの笑顔を見せてくれないじゃないか。
僕には、その個性を一度も使ってくれなかったじゃないか。
なのに、なんで一ノ瀬君達には抱きつくの？
笑顔を見せるの？
個性を使うの？
なんで、家族の僕じゃなくて、一ノ瀬君達なの？
僕は訳が分からなくなった。

「僕の、僕の妹を、返せ！！」

すると、僕の頬に鈍い痛みが走った。
一ノ瀬君が、僕を殴ったのだ。