逢魔が時ガ過ギルマデ (ページ3)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:2,193 hit

第一話：後編ページ3

「鬼さんこちら手の鳴るほうへ！」

ケラケラと笑いながら
次々と襲い掛かってくる餓鬼や小鬼を
爪で切り裂き、狐火で燃やし、炭にしていく

『野狐ごときがッ！！
我ら牛鬼一派を舐め、ぐがっ！！！』

「…うるせーよ
三下共は下がってろ」

最後まで言い終わることなく
容赦なく潰されて行く

圧倒的な強さを前に後退り
劉との距離を広げていく

そんな鬼達に呆れたように溜息を吐き

「さっさと遊ぼうぜ
牛鬼一派のお頭さん？」

クツクツと笑いながら
牛鬼を指さし挑発する

『…身の程をわきまえろ
お前の敗北は決定しているんだ』

「は？何言って…ん…だッ…!!」

頭を抑え膝をつく劉に
にやりと口元を歪ませた

『お前が殺していった鬼の血の毒だ…！！
目が霞んで息苦しいだろう？』

倒れ込み荒い呼吸を繰り返している劉を
掴みあげ締め上げていく

「ぐあっ！！！
は、なせッ！！！」

『安心しろ…楽には死なせてやらねぇからよォ』

牛鬼は己の口から取り出した
黒い霧のような物を
劉の頭に押し込んだ

「ｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞ！！！」

体を痙攣させ両目が真っ赤に充血していく

『いまお前に流し込んだのは
お前が最も恐る悪夢だ…苦しみの中で死ね』

劉を地面に叩きつけた瞬間＿＿

牛鬼の視界が傾き
青黒い血が飛び散った

『あ…？』

「潰し合いご苦労さま」

倒れゆく牛鬼の目の前には
先程までもがき苦しんでいたはずの劉が
悪戯っ子のように嘲笑っていた

「妖狐に幻術とか笑い過ぎてお腹痛いんだけど」

『い…つからだッ！！』

「お前達が俺の青い狐火を見た瞬間だよ
俺を殺したつもりが、
お前はただ仲間を殺してたって訳」

だから言ったんだ…と牛鬼の前にしゃがみ込み

「潰し合いご苦労さまってね」

ザシュッ＿＿

動かなくなったことを確認し
上の二人に声をかけた

「おーい、終わったよー！」

笑顔でこちらに手を振っている劉の周りには、鬼の骸が転がり
その返り血で劉の両手とその場が青黒く染まっていた