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「過去編__笑顔」 ページ34

あの日から母さんは私に喋りかけるようになった。


「A、今日は何が食べたい?」


ニコニコと薄っぺらい笑みでわたしの頭をふわりと撫でる。あの日、私が見ていたのがバレたのか気味が悪いくらいに母さんは優しい。

『…美味しいもの』


そもそも、私は料理の名前を知らなかった。理由は作ってもらった事がないからだ。


「分かったわ、ちょっと待っててね!」


チュと頬に口付けすると、タッタッタッとキッチンに向かって行った。

辺りを見渡すと、部屋が綺麗になっていた。
いつもは、ゴミがそこら中に転がり、歩くスペースなんてものはない。
たった一晩でここまで綺麗になったのだ。ある意味驚いている
多分、部屋を綺麗にしたのは単に父さんの死体を片付けるついでだろう。






















「美味しい?」


と母さんは頬杖をしながら、聞いてくる。机の上にはどう、例えれば良いのか分からない程酷い料理ばかり。どれも、不味く、気持ち悪かった。


母はきっと、料理をした事がないのだろう。




















この、奇妙な事が何日も続いた。

母さんはずっと張り付いたような人形のような笑顔だ。一切、表情を崩さない。

何がしたいのか分からなかった…

ある日、私はちょっとした好奇心で母さんに尋ねてみた。

『父さんはどこに行ったの?』

母さんは数秒、石のように固まると「お父さんは、何処かへ行ったのよ」と笑顔で頭を撫でてきた。


『何処に埋めたの』

「!」

『それとも、捨ててきた?海に沈めてきた?』

「なんで…その事…」


カタカタと母さんは震え、上手く舌が回っていない。


『見てた』


その途端、人が変わったように母さんは私に言った。私が見ていた事はどうやらバレて居なかったようだ。


「お願い!おねがいだから!誰にも言わないで!」


涙をボロボロと流し、顔をくしゃくしゃにして自尊心のかけらもなく、必死に縋りついてくる。母さんが笑顔以外の表情をしたのはとても新鮮だった。


『分かった』


なんとなく、私は黙ってみることにした。

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作者名:暇人で眠人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年7月5日 20時

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