病は治ったはずなのに【イゾウ】 (ページ8)

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海軍ページ8

何事もなく海を渡っていた時のことだった。

「海軍だ〜！！」

本気で交戦するつもりはなくとも形式上砲撃してくる海軍。ついさっき海の坂というグランドライン特有の不思議海にいたこともあり、モビーは普段以上に軍艦に近づいてしまった。

「やっべぇ！マジで当たるぞこれ！！」

水飛沫を浴びてびしょびしょになりながら叫んだ。急いで舵を取り逃げるが中々差は開かない。

そんな時、甲板から誰かが跳んだ。

桃色の着物、イゾウだ。イゾウは近い砲弾は蹴り飛ばし、まだ遠く、向かってくる砲弾は銃で迎え撃った。

「イゾウ！！一人でやるな！危ないぞ！」

しかしイゾウは軍艦を睨み、何も答えずに一人で砲弾を防ぎ続けた。そのイゾウの気迫に誰も加勢することはできなかった。

イゾウによってモビーは逃がされた。

『イゾウさん、大丈夫？』

「ああ」

『足、血出てるよ』

「これくらいなんともないさ。俺よりみんなの方が心配だ。全員傷はないか？」

イゾウは険しい顔で周りを見た。誰も怪我はしていないが、イゾウの怪我を見てみんな微妙な顔をしていた。

「どうして一人でやったんだ！じゃなきゃ、こんな怪我…しなかっただろ！」

「…悪い」

イゾウはそれだけ言って船内に戻った。Aも誰も追いかけることは叶わず、心配そうに既に閉じた扉を見つめた。

「A、イゾウって…」

イゾウを止めようと叫んでいた二人がAに話しかけた。内容は、先ほど戻ったイゾウのこと。

『…私も心配。やっぱり前と違うよ』

「そうだよね。せめて危ないことはやめさせないと」

「治ったばっかでまだ本調子じゃないんだろ」

信じるようにそう呟いた。みんな納得したと自分を騙して日常に戻った。