朝 ページ7
夜は適当にトランプをして、楽しく駄弁って終わった。
次の日の朝、イゾウはAより先に起きた。あくびをしてグッと伸びる。そして隣で眠るAを見た。
「なんつう格好だよ…」
暑かったのか両手を頭の上にあげて寝ているのは、犬が腹を見せて甘えてくるのに似ていた。イゾウは小さく笑うと動き始めた。
イゾウは顔を洗って着替えてから、水とAの着替えを用意して、枕元に置いておいた。そして昨日飲んだ残骸を片して自分の布団を畳んだ。
『おっ…はよ…ござ〜』
「います」
ポカンとイゾウを見るA。二人で笑い、Aは枕元の着替えと水に気付きフリーズした。
『何これ』
「色々してもらってたからな。次は俺が世話焼く番だ」
『いいよいいよ、そういうのは私が倒れた時にやってくれると嬉しい』
「…先に行ってるな」
イゾウは食堂へひと足先に向かった。そしてお盆を腕も使って左手に二つ持つと、器用にAのいつものおかずと自分の分、二人の米をよそって店でいうカウンター席の端とその隣に置いた。
そして自分は座ってサッチと談笑していた。
「おはよ」
「おはよう、一緒に食べるか？」
「そうだな、作ってばっかでつまみ食いしかしてねえし」
サッチも適当なおかずとパンを持ってイゾウの隣に座った。
「そっちはAの分か？」
壁側の席に用意されている朝食を指差しながら尋ねる。イゾウは軽く頷いて髪を一つに結った。
『サッチ！おはよう』
「おはよう」
「こっちおいで」
Aがいつも通りお盆を持とうとするとイゾウが手招きした。お盆を戻して近づくと、もはや取るのがルーティンになっているおかず達が用意されていた。
『これ、イゾウさんが？』
「…」
イゾウは答えず水を流し込んだ。まあいいかとAは座って手を合わせた。
『ありがとうイゾウさん。あと作ってくれたサッチさん』
「嬉し〜」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年8月6日 18時
