一歩 ページ6
A視点
語り合おうぜと言っていたのに、部屋に来たハルタが持っていたのはトランプだ。語る気ないでしょ。
「なんでこんな大所帯になってんだよ」
『待ってたよー』
「全快祝いだ！酒持ってきた！」
『みんな集まった？』
「ジョズだけ来ねえ。アイツ何やってんだ」
イゾウさんも戻ってきた。寝る気満々でスキンケアグッズを手に困惑していた。
「全く…でも、ありがとな」
「ん！」
みんな親指を立てて笑顔をみせる。イゾウさんも照れたように肩をすくめて笑った。
『さ、飲もう！』
「おっしゃあ！！」
「Aはあんま飲むなよ」
私のお酒の弱さを知っているイゾウさんは忠告してきたが、私は特別弱いわけではない。みんなが強すぎるだけ。ちなみにジョズさんは弱い。
その場のノリで『飲もう！』って言っちゃったけど、そもそも私は飲む気はない。
「悪い遅れた！」
ジョズさんが思いっきり扉を開けた。その衝撃で部屋に置いてあったコップが落ちて割れてしまった。破片がラクヨウさんの手に掠って切り傷ができてしまった。
「いって！何してんだジョズ！！」
「大丈夫か！！…A！」
『はい！消毒！』
「ジョズ、ラクヨウ、気をつけてくれよ…」
イゾウさんがすごく取り乱した。涙目になっていて、周りにいるみんなの方が困ってしまった。
「イ、イゾウ？俺は大丈夫だからな」
「何泣いてんのキッショい。ラクヨウの丈夫さわかってんでしょ」
『ハルタ！オブラート！！…でもほんとにどうしたの？』
イゾウさんが心配性なのは全員わかってる。でも前まではこんなに行き過ぎてなくて、逆に心配になる。ずっと病気生活だったからどこか神経質になっているのかもしれない。
「…そうだよな、大丈夫だよな」
「なんか調子狂うわ…手当て、ありがとな。でもこの前脚軽く刺されたときに鼻で笑ってきたのは許さねえぞ」
「性格変わったの？マルコ呼ぶ？」
『マルコは寝かせといてあげてよ』
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作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年8月6日 18時
