病は治ったはずなのに【イゾウ】 (ページ48)

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懇願3 ページ48

A視点

久々に朝の準備を二人でした。すっかり服の選び方から何から忘れてしまっていて、笑うイゾウさんにあんたのせいだぞ…と思いながら頑張った。

そして歯磨きも終わらせて暇になった。窓から見える街並みが本当に綺麗で、イゾウさんはどこかに行っているし外に出たくて仕方がない。

少しくらい出てもいいよね。イゾウさんは良くて私はダメなんて事はない。

「A！！」

甲板に出て日の光に目を細めた。やっと周囲が見えてきたと思った時、名前を呼ばれた。

『サッチ！』

「無事だったかぁ…！！」

『無事でいるために部屋にいたんだよ』

サッチのほっとした顔に釣られて気が緩む。それはそうとしてとにかく動きたい、座ってばかりでお尻にお肉が付いていく感じがする。

『なんか運動しよ』

「え？いいけど何すんの」

『どうしよ』

「ドッジボールでもやるか？」

『いつもボール黒くなってんじゃん、覇気纏ってるのバレバレだからね』

それはほんとに命の危機。丁重に断った。
いつぶりか、マストに登ってみたら見張りの人も声をかけてくれた。

『そういえば、私の見張り担当の日もあったよね？』

「あ、そうそう。なんで来なかった？」

『知らなかったんだよね〜イゾウさんが教えてくれなかった』

「だからイゾウが代わりに来てたのか」

新事実発覚。イゾウさん何から何までやってくれてるし。

ああ、懐かしの太陽が尊い。しばらくここでのんびりさせてもらおう。

日光浴を楽しんで数十分、名前を呼ばれた。

「Aー！！！どこだー！！」

『ここにいるよー！』

甲板に向かって手を振りながら答えると振り返された。

「来てくれ！！イゾウが探して…というか…」

『えっ…』

正直この程度で？ってとこだ。だって超治安の良い島でナワバリで、しかも甲板に出ただけ。

「受け止めてやる！」

『いや無理無理無理無理！』

下で手を広げているが、このマストのてっぺんから飛び降りろってのか。無理無理。

「急げ〜」

すると見張りの人が私のことを放り投げた。
ちゃんと途中で柱とかにぶつからないように投げてくれた…

アッ、死ぬかも。

『ギャァァァァァ！！！』

「ほい、安心せい」

ジャンプしてちゃんと受け止めてくれた。だとしてもだよ、怖いよやめてよ。