病は治ったはずなのに【イゾウ】 (ページ34)

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不幸2 ページ34

一週間が経ったが、Aの目は治らなかった。しかしイゾウがどこへ行くにも付き添い、手伝うどころか全て代わってやっていたので酷いことはほとんど無かった。

Aは多少不満ながらもイゾウがいないと困ることもあり、大人しくイゾウに頼っていた。

「次の島はどうする？あと10日くらいだと」

『んー危ないし無人島らしいから船にいようかな』

「了解」

11日半後、島に着いてもAの右目の視力は上がらず、ぼんやりとした影や光見えるのみだった。見聞色が使えれば…と考えていたが予想より大変なことは少なくて、日常生活に問題はない。

『甲板に出て景色眺めてくる』

「わかった、カゴと網もってくるな」

『待ってなんか捕まえる気？私はやだよ』

イゾウは少しだけテンション高く去ってしまった。なのでAは先に甲板に出た。

『うわぁー！探検したいけど虫は嫌だ！！』

ジャングルに目を輝かせるA。ブンブンと目で追えないスピードで飛び交う虫がぶつからないように少し体を丸めた。

「A！！やばい！」

『え？』

「右脚！右脚！！」

『もしかしてなんかいる？！』

右脚に大きな虫がいるらしい。服の上、かつ右目が見えなくてギリギリ視界に入らないので気付かなかった。Aは走って振り落とそうとするが飛び立った様子はない。

『痛っ！！！』

蚊は服の上からも刺す。こんなに大きい虫が刺さないわけがない。暴れられたことにより虫は己を守るためにAに針を向けたのだった。

「うわぁ…ナースんとこ一緒に行くか」

『すっっごい痛い…何の虫？』

「知らん」

Aがナースのもとへ向かった時、入れ違いでイゾウが甲板に出てきた。

「…Aは？」

「あー虫に刺されたってさ」

「マルコのとこか？」

「いや、ナースのとこって言ってた」

イゾウは探検(をしたいだけ)のチームにAのお土産を頼むと、網とカゴを置いてAに会いに向かった。