病は治ったはずなのに【イゾウ】 (ページ25)

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相談2 ページ25

イゾウ視点

Aがいなくなったのを確認したビスタは話し出した。

「この前の島でAと一悶着あったらしいな」

「…まあな」

「Aから相談を受けた。心配なのはわかるが、Aをもう少し信頼して自由にしてやってもいいんじゃないか？」

俺は押し黙った。危険でなければ別にAのことを縛ったりはしない。
なのにAは男に声かけられるし、暴力が横行する島に降りようとするし…仕方ないという気持ちが大きい。
そしてそれを理解してくれないAに、少しだけ不満を持っていた。

「危ないからってだけだ」

「それでもやり過ぎなのは否めないぞ」

「何がやりすぎなんだ。仕方ないだろ。Aはすぐに色々と巻き込まれる。俺はついていけなかったし、今回のは間違っていないと思ってる」

「どうだろうな。塩梅は難しいところだが、Aにとっては嫌だったんじゃないか」

俺からしたら男はみんな敵だ。Aにわざわざ近づく女も、何か企んでる可能性があるってだけで敵と認定するには充分だ。
それに気候がわからない初上陸の島も、危険だから降ろせないのは仕方ない。

街に出れば視線がうるさい、声がうるさい。だからAを汚い目で見るな、Aの耳が穢れてしまったらどうする…と思うのは不思議ではないだろう。
俺を支えてくれたAを、守りたいと思うのは悪いことではないはずだ。

「俺は、Aを手放したくない」

「わかるさ、自分の女を簡単に離す男はいない」

「だから、許せないんだ。Aと俺を引き離そうとするヤツらを」

「Aが嫌がってもか？」

「危険な目に遭うのと…どっちがいいかね」

俺に守られていたほうがAが幸せなのは間違いない。
全てはAのため。今までAの生活の全てを俺がやってきた。熱で動けない時、支えてもらった分。そしてAが俺から離れられないように。

『ただいま』

「お帰り」

『お話の途中だった？』

「問題ない」

ビスタとAが話している間、俺は水を喉に流し込んだ。