独立 ページ22
A視点
久しぶりに島が見えた。しかし今回は降りる人が少ない。それはこの島には女性が多く、男性は虐げられているかららしい。別にやられるほど弱くはないが、面倒ごとに巻き込まれたくないらしい。
「そんでお願いなんだけど、買い物任せていいか？」
『りょーかい。買う物まとめてお金と合わせて頂戴』
「ありがとう！これメモな、金は多分これで足りるだろ。おつりはそのままマルコのとこ持ってってくれ」
『あいよ』
一度袋とかを取りに部屋に戻る。そして再び外に出ようとするとイゾウさんに腕を掴まれた。
「A行くのか？」
『うん、明日からのモビーの食事を賭けた任務だよ』
「…だめだ、行かないでくれ」
そんなことを言われても、頼まれたものはしょうがない。それに私が行かないとみんなのご飯が無くなってしまう。
『だって…』
「ナースに任せればいいだろ」
『最近何もやってないし私も働きたい』
「でも…」
イゾウさんは俯いた。腕を離す気配は無い。私は痺れを切らして言った。
『じゃあイゾウさんがついていくっていうのは？！』
「男への暴力も普通らしい。巻き込まれたらAも危ないだろ」
『なんでそんなに頑なに行くの駄目って言うの』
イゾウさんはグッと手に力を込めた。振り払おうとしたのにできない。
「前にも男に話しかけられてたろ、何かあっても俺は助けられない。だから行くな」
『大丈夫だよ！！ナースさん達と一緒だし、一人じゃない！』
引っ張っても離してくれない。イゾウさんの力に私が敵うはずもない。
突然イゾウさんが扉をあけた。するとそこに通りかかったナースさん。
…こういう時、私は見聞色を使えるようになりたいと心から思う。
「お前降りるのか？」
「いいえ？私は降りないけど」
「じゃあAと代わってくれないか？Aも降りる予定だったが、問題があってな」
何を言っているんだ！
口を挟もうとしたのに、本当はおりたかったのか輝いた目ですぐに答えられた。
「わかったわ！A、借し一つよ」
指を指されて一瞬戸惑う。すぐに手のメモとお金を取られてしまった。
『待って！私は！』
パタン…とイゾウさんは扉を閉めた。
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作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年8月6日 18時
