二日目4 ページ21
イルカ達と涙を堪えながらAは別れた。
それにしても、Aの水着が服に近いものでよかった。流石に家族といえAの肌を見るのは看過できない。
「やっぱりAは海より陸だな」
甲板で体を拭いているAとクリエルたちは話していた。
『ん〜どっちも好きだけど、得意？でいったら陸なのは否めないかなぁ』
きっとさっき誰かが話してたように、Aはどこかの島で過ごした方が幸せになれるんだろう。ただでさえ危険が伴う海賊なんかじゃなく、平和な村で、海賊なんかみたことないようなイーストブルーで生きた方がいいのだろう。
俺はあまりその話をしてほしくなくて、クリエルに念を送っていた。
ここでもしAが船を降りたいなんて言ったら俺はどうするかわからない。
まずAが他の男と人生を共にするなんて、おかしくなりそうだ。そして一人にするなんて、危険だ。
もしAが島に住みたいと言ったらその瞬間から、モビーの外に出さないようにしないと。俺の部屋でひっそりと暮らさせよう。
「じゃあいつかは船を降りるのか？」
『陸の方が得意ってだけで、モビーは好きだよ。だからいつか降りることになったとしても、今は何も考えてない。みんなと一緒にいたいからね』
俺は内心安堵した。Aがいなくなるのかと思った。
「へ〜、じゃ、そろそろイゾウのとこ行け。待ってんぞ」
『へーい』
クリエルは俺を指差して言った。Aが小走りでやって来て、なんか可愛かったので抱き留めた。
『濡れちゃうよ』
「いい、どうせ今日洗濯だ」
『洗うの誰だと思ってんですかー』
「俺」
『正解』
夕方だしAを風呂に押し込めて、寝るための服を用意した。(脱衣所に誰もいなかったので)
もう洗っておくか。自分の着物も取り替えて、二人分の洗濯をする。アイツらみたいに週に一回の洗濯で保つかっての。
『イゾウさん、流石に干すのは代わるよ』
風呂からあがってきたAは申し訳なさそうに言った。
「いい、座ってろ」
夜の間に天気がどうなるかわからないので部屋に干す。さっさとやってしまうかと思ってたら、Aが背中にピッタリとくっついてきた。
『私は…イゾウさんに依存するつもりはないよ』
「してくれればいいのにな」
『良くない。イゾウさんのためにも、私のためにも』
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作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年8月6日 18時
