夜 ページ11
モビーはとある島近海にいた。治安はそこそこ。
イゾウも治り、ゆっくり寝れるようになって絶好調のマルコは一足先に飛んでそう言っていた。
「マルコ!!ネタバレすんな!」
「すまないよい、それ以外は喋ってないだろ」
「お前だって普段なら同じこと言うくせに!」
そんな言い合いが甲板では起こっていた。
一方Aとイゾウは出かける準備をしていた。元々Aは一人で街を闊歩する予定だったが、イゾウがついていくと言ったのだ。
「到着は今日の夕方らしい。降りるのは明日にしようか」
『そうだね』
夜、Aが布団に入り、イゾウも続いて隣の布団に潜った。しかしAは暑かったのか足を出して腕を出して…ついに何もかけずに深い眠りに落ちた。
イゾウは普段に比べて比較的寝つきが良いAに安心しつつ狸寝入りをしていた。Aが完全に寝たと確信した頃、体を起こした。
まず横向きに寝るAのお腹にのみ布団をかけ、口にキスをすると動き始めた。
まずイゾウはAの服を手に吟味した。そして綺麗にたたみ直して枕元に置いた。
これはもう習慣になっている。Aから何度も大丈夫だと言われているが、無視して続けていた。
適当な理由をつけて自分がやりたいんだと伝えると最初こそ申し訳なさそうにしてたが、最近は本当にそうなんだと信じて当たり前にしている。
部屋の水周りを掃除し、Aの歯磨きやうがいに使うコップの水垢も取っておいた。
そういえばAの使っている髪ゴムが切れそうだった。イゾウは新たなゴムを用意してすり替えておいた。
だからといって捨てはしない。Aが使った物を捨てるなんてイゾウにとってあり得ないこと。しっかりと保管した。
「おやすみ」
イゾウの一日はこれでやっと終了。布団に入る前にまたAにキスをした。仰向けで警戒のカケラもない。
仰向けに寝ている時は注意しなければならない。口が少し空いていたので、一度調子に乗って唾液を少し流し込んだらAはむせてしまった。気管に入ってしまい苦しそうに起きた。
…バレこそしなかったものの、イゾウはとても反省した。それからは一応控えめにしているつもりだ。
そんな夜のことを思い出して微笑んだ。可哀想なのに、むせたAも可愛かったな、と自分の唇に軽く触れてさらに口角をあげた。そして今度こそAの隣で軽く手に触れて眠った。
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作者名:はなやぎ | 作成日時:2023年8月6日 18時