睡眠事情 ページ10
モビーはとっても広い。したがって隊長たちにはホントに狭いけど部屋がある。狭いけど。
「いーなぁ…俺も部屋欲しい」
「隊長になればいいだろ」
ブラメンコさんが答えた。しかし渋い顔をそのままに言い返す。
「誰かが隊長の座を退かなきゃなんねえだろ、どいてくれんのか？」
「嫌だ」
「だろ？実力主義といっても仲間同士で戦うのか？そもそも勝てねーし」
『そこは勝てる自信をつけてから言ってよ。でもなんで部屋欲しいの？』
あったらまあプライベートは守られるけど…ちなみに大部屋は完全に寝るためにあるような物で、布団は敷きっぱなしで、空間を目一杯工夫して一部屋100人くらいは悠々と寝れるようになっている。設計した人天才だと思う。
「でも一人で寝たいんだよなぁ」
『うーん…私の部屋使う？なんかよくわからないけどナースさんとは別になっちゃってんだよね。一人でぐっすり寝れるよ。私はその間ナースさんと一緒に寝る。』
「そこまでしなくていいさ、ありがとな」
結局会話は終わったが、私は気になってしまった。
みんなの寝相、そして睡眠事情が知りたい。なんか気になる。
『てことで一緒に行こう』
「うーわなんで俺？そして全員のとこ行くのかよ」
『隊長達だけにしようかなって。でも一応女である私がいきなり部屋に侵入するのもなぁ…って思ってさ』
「誰も気にしねえだろ。見られて困ることも……あるけど」
『あるんかい！まあだから先に覗いて大丈夫か確認してもらおうと思って来たんだけど』
「命の危機なんだが」
共犯者を連れて真夜中に部屋を巡ろうと思う。
観察結果をまとめるのでちょっと待っててくれ…って誰に言ってるわけでもないんだけどね。
『申し訳ないけど好奇心には勝てん。バレたらその時謝ろう』
「謝って済むのはAだけなのわかってんのかおい。俺は誤って殺されるかもしれない」
『誤ると謝るでかけてんの？うまい』
「くっそいつかAの食べる餃子にタタババスコ入れてやる…」
『ごめんごめんごめんごめん』
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作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年6月21日 8時
