続き ページ7
イゾウさんがやっと言葉を挟めた。
「ふふ、可愛いジジイだろ？」
『ジジイって認めるのね？！』
なんか今日のイゾウさんは欲しい言葉をくれない！
イゾウさんに乗ったまま朝食を取りわけて、食堂唯一のソファに二人で座った。
「おーどうした？珍しいじゃん、何で泣いた跡あんの？」
『サッチ…』
サッチが向かいに座った。私はイゾウさんを指差した。
『イゾウさんに泣かされました』
「えっ俺のせい？」
「イゾウ……男の風上にもおけねーな」
明らかにニヤニヤしているサッチ。からかっているつもりだ。イゾウさんは困り眉でキョロキョロしている。
しばらくすると諦めたようにお米を口いっぱいに詰め込んだ。
私はサッチに説明しながらまたいくつか涙を流した。
「ふーん。ま、このイゾウが簡単に死ぬとは思えねーけどな」
『そう、そうだけど…』
「ほれティッシュ」
『ありがとう』
イゾウさんは早々に食べ終わっていたが、私を気遣ってか離れなかった。
『おいし…ヴッ…』
泣いていたので吐き戻しそうになった。
「泣くか食うかどっちかにしろ。詰まるぞ」
イゾウさんが背中をさすってくれた。やばい、また涙出そう。
「今日はイゾウに甘えただな」
「イゾウ嬉しそうだぞ、この機会に色々ねだっとけ」
「ククッ…！土地とかもらっとけ！」
「持ってねえよ！！」
思わず笑ってしまう会話に、やっと安心できた。イゾウさんはここにいる！
『イゾウさん、一番高い簪ちょうだい』
「んー…いい、うーん…だめ…？」
「迷ってんじゃねーよ！」
「もっとねだれ！」
『え、んーっと……』
「やめてくれ…！」
イゾウさんの悲痛な心の叫びが聞こえたのでやめておこう。
イゾウさんと二人でお皿を片して甲板に出た。
丸一日イゾウさんと一緒にいて、安心してから寝ました。快眠快眠。
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作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年6月21日 8時
