悪夢 ページ6
※イゾウさん最期の瞬間を夢に見てしまった話です
今日の目覚めは最悪だった。
朝起きると涙で枕が濡れていて、何も考えずカーテンを開けると顔だけ洗って走った。
向かったのはイゾウさんのお部屋。
『イゾウさん！！』
「うわっ！珍しいな、そんなに慌ててどうした？」
『イゾ、さんが…！！』
「泣っ…？！とりあえず入れ、俺がどうしたんだ」
流石イゾウさんの部屋は綺麗。イゾウさんに会った瞬間に抱きつく。イゾウさんは引き離そうとはせず、歩き辛そうにしながら部屋の奥に入れてくれた。
椅子に座ったイゾウさんは、膝の上に私を向かい合うように乗せてくれた。そしてギュッと抱きしめてくれる。
『イゾウさんがぁ！ｸﾞｽｯ…死んじゃうのが悪い！！』
「待て待て、じゃあ俺はなんだ。幽霊か？」
『ちゃうくて、夢…』
「夢？！」
ゆらゆらと左右にあやすように揺らされながら話した。
夢の内容を話すとイゾウさんは笑った。
「ハハッ！妙にありそうな夢だな！安心しろ、あと10年は一緒にいてやるよ」
『何で10年…？』
「おでん様が亡くなってから20年後に討ち入りをするんだ。白ひげ海賊団がある限り死ぬつもりはないが、死ぬとしたらその時だろ。そろそろ10年くらいだと思うから、もう10年は一緒だ。…何年に亡くなったのか実は知らないんだよな」
「死なない」って言ってほしかったのに、現実味を持たされてしまって余計に泣けた。イゾウさんは笑いながら背中をトントンしてくれる。
そんなんじゃ泣きやめませんぜ、イゾウさんのこと大好きだし。
『死なないって言ってよ…！』
「死ぬつもりはないって言ってんだろ、どうせ三日後には忘れる程度の夢さ。気にすんな」
ある程度涙が止まるまでイゾウさんは抱きしめていてくれた。
「さ、腹ごしらえだ。うちのコックたちの飯食ったら元通り、元気になるさ」
それでも離れないでいると、イゾウさんはおぶってくれた。そのまま食堂に入る多くのと視線を感じた。
「イゾウ、背中に子泣き爺いるぞ」
イゾウさんが口を開いた。しかしそれを遮って話はすすんだ。
「Aじゃん」
「そういう妖怪がいんだよ！！学が足りねえな！！」
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作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年6月21日 8時
