そうじゃない ページ6
マルコさんは案外話好きのようで、イゾウさんが来るまでの間世間話をしてくれた。
「とりあえず体は大丈夫そうだねい。」
『ありがとうございます。』
「おい、まだか。」
イゾウさんが持ってきてくれた毛布や白湯は側にある。今はマルコさんが手早く診察してくれたところで、服を捲ったりするからイゾウさんは締め出されていた。
少し恥ずかしいが、マルコさんは絵で見るよりずっと医者っぽくて安心できた。
「あと5時間くらい待ってろ。」
「男と部屋で2人きりって時点で既に限界が近いんだ。冗談も大概にしろ。」
『ご、5時間…？』
「嘘だよい。イゾウも入っていいぞ。」
顰めっ面のイゾウさんが部屋に入ってきた。すると私のベッドに腰掛けて手に触れてきた。
「マルコが医者だから許したが、他の野郎に触らせる気はない。マルコもそこを履き違えるなよ。」
触れ合っている手を見つめながら忠告した。その顔は至って真面目で本心はわからない。
「お前ら忘れてるかもしれねぇが、船に乗るのなら親父に許可もらわねぇといけないよい。体調も万全だしとっとと行ってこい。」
「ああ。」
『えっ…え？待って混乱してます。』
こっちに来た瞬間はイゾウさんの無事に安心していたが、冷静になった今考えるとイゾウさんに気に入られているこの状況。心中穏やかではない。
世界一の海賊に会うとか心の準備というものが整っていない。マジで待ってほしい。
『いや、私…乗る気は…』
「えっ……」
そんな悲しそうな顔をしないでほしい。心が痛む。
そもそも、私はイゾウさんの幸せのために全てを捧げる覚悟だ。そして、今なぜか私のことを大切にしてくれているイゾウさんがここにいる。
これからの自由な航海を、私がいることで縛り付けたくない。この様子だとイゾウさんはきっと(すごく嬉しいことに)私にベッタリでいてくれるだろうから。
「まあいい。とりあえず行けよい。」
鬼だ。イゾウさんは思い詰めた顔のまま私を横抱きにした。そして恐らく親父さんの部屋の方に歩き始めた。
『(嘘でしょ…とても嬉しいけど…)』
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はなやぎ(プロフ) - りかさん» えっ、すっごい嬉しいです！お褒めのお言葉ありがとうございます！！ (7月25日 22時) (
レス) @page18 id: bc10c687fc (このIDを非表示/違反報告)
りか - 一気に読んじゃうほど面白かったですー！ただの愛されじゃないのめっちゃリアルで怖いけど面白かったですよ (7月25日 20時) (レス) @page4 id: 05d2025b41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年5月18日 0時
