一緒に ページ29
もう一度、今度は短く唇を合わせて顔を離した。
「さ、何かしたいことがあったんだろ。付き合おうと思ってるんだがいいか？」
パッと切り替えて楽しそうに尋ねてくる。
『うーん…暇潰ししようと思ってただけなんですよね…』
鼻をかみながら答えた。外からはパラパラと雨の音と海の音が聞こえ、相も変わらず水に囲まれた生活だと再認識する。
あごに手を当てて考えていると、イゾウさんの手が私の口に伸びてきた。
「悪い、口紅ついた。」
親指で優しく拭われるとイゾウさんの指に赤色がついていた。
『綺麗な色ですよね。』
「気に入ってるんだ。でもそろそろ歳だし少し暗めの色も試してみたくてな。」
『どっちも似合っちゃうのが悩みどころですね。』
ピンクと紫の間のような色はイゾウさんの着物も相まってすごく良く似合う。今の真っ赤な口紅もいいが、どっちのイゾウさんも素敵だ。
「暗めの色が気に入ったらこの口紅はAにやる。Aの方が似合うだろ。」
『いや、私は一生を美に注いでもイゾウさんには敵いません。』
「なんでだ、こんなに魅力的なのに。」
『嬉しすぎて逃げたい。』
そんな会話をしていたらいつの間にか時は過ぎていった。もうすっかり気を許してしまっていてこんなに普通に話せるようになっていた。
好きな人の前では挙動不審になる気持ちはわかるが、イゾウさんに引かれたくない。それに出会いから何から衝撃的すぎて慣れてしまったのも大きな要因だ。
とにかくイゾウさんと居ると落ち着く…ので万事OKだということにしておこう。
細かいことは考えるのをやめて、今一緒に居られる時間は幸せを噛み締めると決めた。
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はなやぎ(プロフ) - りかさん» えっ、すっごい嬉しいです！お褒めのお言葉ありがとうございます！！ (7月25日 22時) (
レス) @page18 id: bc10c687fc (このIDを非表示/違反報告)
りか - 一気に読んじゃうほど面白かったですー！ただの愛されじゃないのめっちゃリアルで怖いけど面白かったですよ (7月25日 20時) (レス) @page4 id: 05d2025b41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年5月18日 0時
