ビビるけどやめないでください ページ28
今日はあいにくの空模様。それぞれのんびりと室内で過ごしている。一部元気な人と見張りは外にいるが。
「なあA。」
『はい？』
暇なので本でも探しに行こうと思って立ったとき名前を呼ばれた。側に胡座をかいていたイゾウさんは右手を差し出してくる。
『…？』
本当にどういうことかわからなくて自分の両手を見る。何も持っていないし、とりあえず私も左手を差し出した。
すると腕をグッと引かれてそのままイゾウさんの胸というか肩に突っ込んだ。その勢いで歯がイゾウさんの肩に当たってしまった。
『いでっ…あっごめんなさいごめんなさいごめんなさい！！』
「…すまん、大丈夫か？Aの歯は…」
『いや、もう虫歯もない健康です！』
イゾウさんは少し笑うと笑顔できつく抱きしめてきた。
「耳元でそんな大声を出すな。」
頭に手を添えられ胸に押し当てられる。そしてそこから包み込むように、でも強く抱きしめられた。
イゾウさんの顔は見えないが笑っているのがわかる。
『急にどうしたんですか…？』
「嫌だったか？」
『消えたくなるくらい嬉しいです。』
「ははっ消えないでくれよ。」
腕を緩められたので顔をあげると頭に添えられていた手が私の頬を包んだ。そしてそれはもう唐突にキスされた。
押し付けてくるキスに私は硬直状態だ。胸はあんなに筋肉で固かったのにこっちは柔らかい。なんとなく顔を見ているのが後ろめたくて目を閉じた。
すごい長い間そうしていた気がする。体感は「すごい長い」でも実際は「長い」くらいだろう。
ゆっくりと離れると至近距離で目が合う。逸らそうとするとイゾウさんは目を閉じて額をくっつけてきた。
「悪い…したくなったんだ。」
『いえ…』
「愛してる。だから、俺より先に死ぬんじゃないぞ。」
やめて、そんなこと言わないで。
『嫌です。大好きですから、私を置いて行かないで…連れて行って…』
漫画で見た、あのシーンがフラッシュバックして涙が出てきた。こんなに顔が近いのに恥ずかしい、泣きたくない、止まらない。
「…それがAの望みなら。」
その返事に安心した。
『大好き、大好きです…本当に伝わってますか…？』
「ここに耳があるだろ？聞こえているし伝わっている。」
『1人に…しないで…』
「させるかっての。」
［なぜこんなに都合良く好きでいれるイゾウさんなのだろう？］
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はなやぎ(プロフ) - りかさん» えっ、すっごい嬉しいです！お褒めのお言葉ありがとうございます！！ (7月25日 22時) (
レス) @page18 id: bc10c687fc (このIDを非表示/違反報告)
りか - 一気に読んじゃうほど面白かったですー！ただの愛されじゃないのめっちゃリアルで怖いけど面白かったですよ (7月25日 20時) (レス) @page4 id: 05d2025b41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年5月18日 0時
