この恋、期間限定につき。 (ページ8)

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仕事が終わったら付き合ってなんてジョングクには言われたけど、やっぱり仕事が終わってみたらその後どこかに繰り出す体力なんて残ってなくて、丁重にお断りすることにした。

もう日が昇りかけた薄暗い空の下、コンビニ袋をぶら下げて歩くあたし。

決してボロいとか汚いとかいう訳ではないけれど、コンクリート製の壁面がどうか人を寄せ付けない建物が一応あたしの家。

店舗兼住宅であるその建物は、表に真っ赤な鉄の扉がついていて、当たり前だけどこの時間はCLOSEDの札がぶら下がっている。

裏に回ると玄関と言うには小ぢんまりし過ぎた扉があって、そこが家に出入りする為の唯一の出入り口。

表の扉は鍵がかかっていても、ここの鍵が開きっぱなしじゃ不用心過ぎるだろうと思うけど、この家の主はそういうことをあまり気にしない。

『ただいま～…って寝てるか。』

真っ直ぐ向かったリビングのソファで死んだように眠る、あたしの同居人。
白い肌には勿体なさ過ぎる、鮮やかなタトゥーの数々が半袖から出ている腕には広がっている。
目を隠すように置かれた左手の手首には、見慣れたトランプのジョーカー。

『もう、こんなとこで寝たらまた風邪引くよ。』

隣の部屋から薄手の毛布を一枚持ち出して掛ければ、すっぽりと頭まで被ってあたしに背を向ける。

テーブルには沢山のデザイン画が置かれていて、それらをひとまとめにすると、ようやくあたしは食にありつくことができた。

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