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『同居人は、嫌いな食べ物がないらしいんです。それで、あたしはピーマンとトマトが食べられないって言ったらガキくせぇって笑われて。その時の顔と、そのセリフがなんとなく懐かしい感じがしたっていうか…。すみません、本当にこんなことなんです。』









「謝ることなんて何もないよ。それにね、そうやって些細な事が記憶の鍵を開ける大きな事手助けになるんだよ。」









その後、脳波の検査をしたりして、今日もいつも通りほぼ何も変わりない診察を終えた。









「アンさん。セクハラと思わず聞いてほしいんだけど、ちょっといいかな?」









『?…はい。』









「今、恋はしてる?好きな人や、気になる人いない?」









何を言い出すのかと思えば本当にビックリするようなことを先生は言い出した。









『え…はい?こ、恋…?』









「うん、恋。」









そう答える先生の目は真剣そのもので、決して茶化されてるわけではないというのがよく分かる。









『してませんけど…。正直そんな余裕も無くて。』









「まぁそうだよね。これは1つの提案なんだけど、恋、してみなよ。もしかしたらそこに、アンさんの記憶に繋がる何かがあるんじゃないかな?」









『そんなこと言われても…誰に恋しろと?』









「同居人、ユンギくんて言ったかな?彼なんて良さそうじゃないか。一緒に住んでるんだし。」









何故か先生はとても楽しそうだけど、あたしはちっとも楽しくないしまさか医者から恋をしろだなんて言われる日が来るなんて誰が想像出来ただろう。









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作者名:nonta | 作成日時:2018年3月20日 9時

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