運命の人なんかじゃない。[TH] (ページ10)

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「ちょっとストップ！」

先生の鋭い声が飛んできてジミンと2人で踊りをやめる。先生は睨みをきかせながら一直線に私のもとまできた。

「A、踊れてないの自分で分かってるわよね」

「っ…はい…」

「じゃあ隣のスタジオ行って練習してきなさい。他の生徒たちの迷惑だわ」

返す言葉もない。みんなの視線がいつもよりも鋭くて纏わりついているのを感じながら先生に頭を下げてスタジオから出る。

JM「…、A！待ってってば」

隣のスタジオに着いた瞬間ジミナに手を掴まれた。何度も呼んでくれてたみたいで困ったような表情になってる。

「ごめん、今日ちょっと調子悪い」

JM「いいよ、誰だってそういう日あるから。僕もサポートしきれなくてごめんね」

ジミナは全く悪くないのに謝らせてるのが申し訳ない。けどそんなことないよって言いたいのに言えなくてただ頭を軽く振ってしまうだけになる。

「…私って」

そんな笑えてないかな。

そんな言葉が一瞬頭をよぎった。けどジミナにそんなこと聞いたってただ困惑させてしまうだけなのが目に見えて分かる。

JM「大丈夫だよ、また頑張ればいいだけだから」

安心させるようにジミナは微笑んで、水買ってくるよとスタジオの外に出て行った。多分、私が1人にして欲しいのを感じ取ってくれた。

『Aは笑ってるのが1番いいよ』

頭の遠い記憶で懐かしい声が響く。優しくて、いつも私を救ってくれてた声。

「笑い方忘れちゃったよ、オッパ…」

しゃがみこんで膝を抱える。たった一言、全然知らないテヒョンからの言葉なのに。

TH『A、いつも心の底から笑ってないでしょ』

その言葉を思い出すだけ苦しい。