エンカウンティング ページ6
「私の夫がお世話になってます。こんにちは、ヒソカさん。」
にっこり。
その形容詞がピッタリとあてはまる笑顔を先にもあとにも見たことがないとは自称奇術師のヒソカの評である。
幻影旅団に暇なヤツ集合と言われ、なんとなく楽しいこともなかったので近くの街までやってきたヒソカは、蜘蛛の集合場所まで行くかこの街で適当に体を動かすかと考えていた時である。
目の前に突如として現れた女が優雅な動きで握手を求めてきたのである。
「こんにちは♦……ところでキミの"夫"というのは誰のことだい?」
握手を交わしたままヒソカは思考した。
妻帯者の知り合いなどヒソカには全く心当たりがなく、しかも顔だけなら1度見たら忘れないほどの美人であり(ヒソカが美人を覚えてるかどうかは別として)、絶のレベルからして相当な使い手なのでそういう点でもヒソカは首を傾げたのだ。
「夫――クロロ=ルシルフル――の妻のAと言います。」
以後お見知り置きを…そう笑顔を見せた女を見てヒソカは一瞬呆気に取られた。
一番最初にリストから外した男の名前が出てきたことに驚き、イルミの婚約者と言われた方がまだ納得するなと考えた。
Aは晴れ空の下木陰のベンチに腰掛け木によりかかっているヒソカを見上げた。
そのヒソカが、クロロの妻だというこの女を使ってどうにかクロロと殺り合うことは出来ないかと思案した時である。
「あらあら、ヒソカさん……悪巧みはいけませんよ。」
女はそう幼子に言い聞かせるように言った。
またもや呆気に取られたヒソカは自分の毒気が抜かれていくような気がした。
「キミって精神状態に作用する念の使い手かい?」
これはイケないとヒソカが探りを入れるように顔に笑みを貼り付けて問うと、違いますよと笑みを返された。
うふふ、と笑った女は職業柄そういう勘は鋭いんですと続けた。と言っても今は妻としてお家を守るために専業主婦ですけどねとはにかみを添えて。
.オチなんてないことに今気がついた。出オチです。おやすみなさい。
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作者名:クルミ | 作成日時:2021年1月19日 0時