幼馴染との憧れ ページ9
直哉side
「なあ、A、見に行かへん?」
「んぇ、キョーミないわそんなショボい人間」
だんだんA、口悪なってきとらん?
Aがよく家に遊びに来るようになって数ヶ月
俺もAも互いに遠慮っちゅうもんが無くなってきた頃
俺は禪院家に来ていたAを捕まえ、父ちゃんが言っとった“禪院家の落ちこぼれ”を見に行こうや、とAの袖を引っ張っとった
行こぉやー、とワガママを言うと、しゃーないなぁ...と言ってついてきてくれる
Aは強いし、顔もええ、俺のワガママも聞いてくれる、正直、俺の本当の兄さんらより大好きやった
うきうきとAを引っ張って行った先の縁側にその男はおった
・・・なんやの、めっちゃ強いやん、このヒト
呪力は一切感じない
全く感情を映さん瞳
それだけ、それだけやった
けど、雰囲気で分かるその人の実力に圧倒されて言葉を失う
Aもこの人の強さに気付いたんやろか、と思って振り返る
…Aの真っ黒い二つの瞳にはその人しか映っとらんかった
ヒュッ…と息が止まる
Aが俺を見てくれん
Aが俺の向こう側を見とる
Aが俺の向こう側に行こうとしとる
Aに置いていかれる
俺の姿を写しとらん瞳が嫌でAの目を隠す
急でびっくりしたのか、Aが「なんやの!?」
と言うが答えられん
ゆうには俺だけを見ていて欲しい。なんてワガママ、さすがに聞いてくれへんよ
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作者名:ユウ | 作成日時:2023年6月4日 13時