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紙でできた式神を持って歩いてくる綺麗な子
「はじめまして、俺、蘆屋A。きみ、おなまえは?」
顔とおんなじで、可愛らしい声をしとった
「俺はぜんいんなおや、や、」
緊張して言葉が出えへんかった
心臓がバクバクして、初めての感情に頭が真っ白になった
「なおや やね、俺のことはAって呼んでや」
無邪気に笑うその子、Aは初めてのお友達や、と嬉しそうにしていた
「今な、父さんが禪院家の当主さんと大事なお話しててひまやってん」
一緒に遊ばん?と俺の手を取る
首を傾げる仕草が可愛らしくて、ほんまに男か?と怪しくなる
俺がええよ、と答えると「ほんま!じゃあ何しよか」と八重歯を見せて楽しそうにンフフ、と笑う
「Aはなにしとったん?」と聞くと
「式神作っとったんよ」
と数枚の紙でできた式神を見せてくれる
「俺の術式でな?“ろくぼーせーじゅつ”って言うんやけど、呪力で式神を作ったり、物を移動させたり、いろいろできんねん」
そう言って式神を動かしたり、六芒星術と呼ばれた魔法陣みたいなもんに収納?したりして得意げに術式を見せてくれた
式神を使う術師はそう珍しくあらへん
けど、Aの式神は一枚一枚がそこらへんのやつ以上の呪力を持っていて、呪術界トップの強さっていうんも納得できた
それ以上に、A本人の底が知れないくらいに強く、重い、ドロっとした呪力に俺は心底惹かれた
「かっこええ」
気付いたらそう言っとった
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作者名:ユウ | 作成日時:2023年6月4日 13時