幼馴染との日常�� ページ15
「すみません、じゃあ一日だけお願いします」
「あぁ、構わない。直哉もここ最近Aくんといると大人しくて、とても助かる」
「では、よろしくお願いします。A、いい子にしてるんだよ」
こくん、と頷き父さんの隣から直哉の父さん、直毘人さんの隣に移動する
今日の夜から明日の昼まで父さんは仕事で出張らしい、ということで一日だけ禪院の家に泊まることになった
「Aっ今日ずっと家におるってほんま！？」
父さんと入れ替わりで扉の向こうから直哉がこちらを覗いてくる
「直哉！ほんまやで！今日、禪院家にお泊まりすることになってん、お邪魔するなぁ」
ぱぁあっと顔を輝かせた直哉が「へ、部屋！片付けてくるな！」と飛び出して行った
「やれやれ、Aくん、今日は直哉と一緒に寝てくれるか」
「うん！ええよ！...じゃなくて、ええですよ！」
そう言うと直毘人さんにわしゃわしゃ頭を撫でられる
ちょっと雑な直毘人さんの撫で方は嫌いやない
荷物を直哉の部屋に置いてきなさい、と言われ、とことこと禪院家の廊下を歩いていると、突き当たりの角から見覚えのある人影が歩いてくる
「あぁ、A、今日家に泊まるんだってな、直哉が嬉しそうにしてたぞ」
確か、直哉のいとこの甚壱さん
俺より年上でよく煎餅をくれる。ええ人
「こんにちは甚壱さん、せやねん、今日お泊まりなんよ！これから直哉ん部屋行かんとアカンねん、また呪力の使い方教えてな！」
手を振って甚壱さんと別れる。どこからともなく取り出した煎餅をくれた。ええ人や
曲がり角を右、右やったっけ...？右に曲がる
「ゆうか...」
「ほぁっ！？」
スっと障子の奥から出てきたのは扇さん、直哉の父さんの弟さん
煎餅に気を取られてたとはいえ、気配なく近付いてくんのはやめてほしい、変な声出たわ
「まだ呪力の制御が出来ていないな、この程度で呪力を乱すな」
「は、はい」
「私の子供も、お前のように優秀な子だと良いんだがな」
ふ、と笑って障子の奥に消えていく扇さん
な、なんやったんや
扇さんは確か直毘人さんと当主争いをしとって度々俺の事を子供扱いしてくる
扇さんの子や、優秀な子に決まっとる
楽しみやなぁ...と直哉の部屋に向かう
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作者名：ユウ | 作成日時：2023年6月4日 13時
