番外編2-83 ページ33
このままでは
イトナは触手もろとも蒸発して死んでしまう
そうなる前にイトナから触手を切り離すには
イトナの力や勝利への病的な執着を消さなければならない
そのためには…まずそうなった原因を知る必要がある
律が調べた情報では
…イトナは町工場の社長の息子で
その町工場はおととしに
負債を抱えて倒産してしまったらしい
社長夫婦は息子を残して雲隠れ
遊橙｢なるほどな…だからお前は
力や勝利にここまで執着してるってことか…｣
寺坂「ケ、つまんねー
それでグレただけって話か」
磯貝「寺坂！」
寺坂「俺等んとこでこいつの面倒見させろや
それで死んだら、そこまでだろ」
寺坂はああ言ったものの
特に何か考えがあったわけではなかった
村松くん家でラーメンを食べさせたり
吉田くん家でバイクに乗せたり…
彼らが、大丈夫かな…？
と思いながら
寺坂達の様子をしばらく見守っていると…
触手が発作を起こしたようでまたイトナが暴れだした
そんなイトナが繰り出した触手の一撃を
寺坂が正面から受け止める
寺坂「…2回目だし、弱ってるから捕まえやすいわ
吐きそーなくれぇ痛てーけどな
なぁ、イトナ一度や二度負けた位でグレてんじゃねぇ
いつか勝てりゃいーじゃねーか」
寺坂はそう言いながらイトナの頭をグーで殴った
遊橙｢同感だな
くだらねぇ理由でそんな力手に入れて嬉しいか？
最初はみんな弱い生き物だ
倒したいヤツ、ライバルを見つけて
そいつを越したい、倒したいから強くなる
けど今のお前は強さに執着しすぎて
なんも見えてねぇよ、大事なもんがな
この馬鹿の言う通り勝てるまで
挑み続けばいいだろ
…今度は触手(それ)じゃなくて
お前自身の力でな｣
夏叶｢大事なもん…か…
流石兄貴いい事言うね｣
イトナ「…耐えられない
次の勝利のビジョンが出来るまでは
…俺は、何をしてすごせばいい」
寺坂「はァ？今日みてーにバカやって過ごすんだよ
そのためにE組(おれら)がいるんだろーが」
業「あのバカさぁ、あーいう適当な事 平気で言う
でもね、バカの一言はこーいう時、力抜いてくれんのよ」
イトナくんの目から執着の色が消えて
…力を失った触手が、ダランと垂れ下がる
殺「今なら君を苦しめる触手細胞を取り払えます
ひとつの大きな力を失う代わり多くの仲間を君は得ます
殺しに来てくれますね？明日から」
イトナ「…勝手にしろ
この触手(ちから)も兄弟設定も、もう飽きた」
遊橙｢よく言うぜあんなに暴れ回ったくせによ…汗｣
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作者名：龍央 | 作成日時：2017年5月24日 1時
