翻訳が機能する世界線【D.Gray-man】 (ページ31)

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九十九之門ページ31

神田の言葉を遮るように、アレンは手ぶらになった手を膝の上に置いて彼と目を合わせないように下を向いて少し叫ぶように言う。
「だから、邪魔にならないものがいいと思って、…その、時計なら、時間見れるし……でも、手につけていると邪魔かなって思って、それで」
「あーもういいわーった。」
いつもいがみ合っている相手に素直になれないのか、何故か言い訳のように話すアレン。長くなりそうなそれを神田は強制的に断ち切るように声を挟み、溜息をついた。
「………まあ、使ってやるよ。」
「えっ」
「…モヤシにしちゃ良いモン選んだな。」
そう言って神田はアレンの頭をぐしゃぐしゃにするように撫でた。神田の表情は今まで見たことないくらいに柔らかい表情をしていた。アレンも髪を乱されて言葉では反発しているが頬はほんのり色づいている。
一連の流れを見ていた自分達は、そんな神田の行動が意外で、でもなんだか不思議と見ていて嬉しい気持ちになり、リナリーはくすくすと微笑ましそうに二人を見つめて笑い、リンクは呆れた溜息をつくが何処か雰囲気は柔らかい、自分は思わず目を細めてあたたかく見つめた。
「優しく出来たな。」
そう自分が神田に向かって言うと、神田はすぐさまムッと顰めっ面になり、自分を睨みつけた。
「………るせェ黙れ。」
「……？？何の話ですか？」
こてんと首を傾げて自分と神田を交互に見るアレン。どうする？という思いを込めて神田に視線を送れば、彼はお決まりの舌打ちをしてアレンや自分から顔を逸らした。しかし、その耳はいつもよりも赤く見える。
「うるせェモヤシも黙れ。」
「な、何でですか！！」
結局、そこからまたいつもの口論が始まり、お菓子が来るまでそれは続くのであった。

「＿＿＿＿～ッ君達！！いい加減黙りたまえ！！！！」

(おっと、その前にリンクの喝が入ったようだ。恐ろしや。)
触らぬ神に祟りなし。自分とリナリーはお説教を受ける神田とアレンを静かに見守った。
まあ神田は素直に聞き入れて無かったけど。