翻訳が機能する世界線【D.Gray-man】 (ページ22)

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九十一之門ページ22

「無理、するなよ？」
自分が言えるのはこれだけだ。自分がジョニーを休ませるように促して、彼が欠けてしまって研究に不備が出て余計皆が傷付くようなことになってしまってはいけない。少し辛いが、彼も物語の大切な人物だ。失ってはいけない。
「ありがとう！」
屈託なく笑うジョニーに、少しだけ胸が痛んだ。
「〔オレ、科学班のお手伝いする！〕」
自分が考えていることを察したのか、フレアが元気に手を挙げた。それにジョニーは嬉しそうに「本当！？ありがとうフレア！」とまた明るく笑ってくれた。
(悪いな、フレア。)
アイコンタクトで伝えると、気付いたフレアは柔らかく微笑んだ。
「じゃあ、食べ終わったら軽装して街に出ましょう！」
こうして、自分達は街へ行くことになった。
(…行くとは一言も言ってないんだけどな。)

「＿＿＿で、なんで神田まで着いてきてるんですか。」
自分の隣を歩くアレンが、ムスッとした表情で一歩後ろを歩く神田を睨みつける。
「仕方ねぇだろ、コイツが一緒に来いっつーんだから。」
コイツ、という言葉と同時に神田が隣を歩くリナリーを指差す。
「ちょっと、私が悪いみたいに言わないでよっ。」
「リナリーは悪くありませんよ、！悪いのはこのパッツンなんですから。」
「んだとこのモヤシ。」
神田がリナリーを貶したことに怒ったのか、アレンは立ち止まって神田の方を振り返って今度は真正面から更に強く睨みつける。それに神田も対抗して、アレンを睨み返した。自分とリナリーも歩みを止め、二人を交互に見て少し溜息をついた。
「どうでもいいが、ラビはどうした？」
このままでは乱闘になりかねないので、自分は無理矢理話題を変える。その為に、この場に同年代で唯一居ない赤髪の青年の名を挙げ相手を決めずに問いかけた。
「それが、なんだか避けられてるみたいで…。」
「避けられてる？」
リナリーの言葉に、自分は引っ掛かりを覚えて彼女の方を振り返り首を傾げる。
「ええ…こないだから少し…ちょっと…。」
「…。」
お互いに黙り込んでしまう。言い合いを続けるアレン達の声は耳に届いているが、嫌に頭は静かであった。
このあいだ、とは何時からだろう。自分が最後に話したのは医務室の時が最後だ。他のみんなはよく知らないが、確かにあまり会話を交わしていないように思える。
思い当たる理由としては、やはりブックマンとしての立場であった。
エクソシストであり、ブックマンである彼には自分とはまた違う難しい存在なのだ。