翻訳が機能する世界線【D.Gray-man】 (ページ20)

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八十九之門ページ20

振り向くと、声の主であるフレアが勢いよく目の前まで飛んできた。
「うわ、どうしたフレア。」
「〔ティムのやつ酷いんだァ！ダメって言ってんのにオレの羽ガブガブしてくるんだよォ〜！〕」
わーん！と自分の肩に盛大に泣きついてきた。すると、後方から少し申し訳なさそうにティムも飛んできてアレンの肩に乗る。そんな二人(ふたり…？)を見て、自分達は「またか」と顔を見合わせて少し呆れた。
フレアは最近、クロスケの他にティムキャンピーやエクソシストのゴーレム達とよく遊んでいる。けれど時折、何故だかティムはフレアのことを甘噛みするらしく、こうして泣きついてくることが多いのだ。
全く、遊ぶのはいいが仲良くして欲しい。しかし、こうなってしまっては慰める以外にフレアを落ち着かせる方法はない。仕方ない、と思いつつ自分はフレアの頭を優しく撫でた。
「はいはい、落ち着け。」
「〔うえぇ〜！〕」
「うわお前鼻水垂れてるぞ。ちゃんと拭け。」
自分はポケットに入れているティッシュをフレアに差し出した。フレアは素直に受け取ってすぐさま鼻をかんだ。
「こうして見ると、二人は兄弟みたいですね。」
一連の様子を見ていたらしいアレンが、ふんわりとした笑顔で笑う。
「お前とティムもそんな感じだろう。」
「えへへ、」
少々からかったつもりだったが、アレンは何故か嬉しそうに笑うので思わず自分は苦笑する。
「あ、みんなここに居たのね！」
フレア、ティムと来て今度は、相変わらず愛らしいリナリーが新しい団服のスカートを靡かせて此方へやって来た。
「リナリー！どうしたの？」
彼女の登場により一層表情を明るくさせるアレン。ジョニーも嬉しそうに「やあリナリー！」と声を掛けた。どんな時でも場を明るくさせるリナリーはやはり教団の花である。
そんな彼女はふんわりと笑って自分に話しかけてきた。
「ちょっと、白桃くんに用があって。」
「自分に、？」
思わぬ言葉に彼女の顔を見つめて首を傾げると、彼女はまた一段と綺麗に微笑んで頷いた。
「そう。兄さんが、白桃くんの服を用意したいんだけど、どんなのがいいか聞いてきてって頼まれたの。」
(ああ、成程。)
自分が今持っている服は下着と靴下を除いて、今着ている制服、初めの頃に替えとして用意してもらった同じデザインのものをワンセット、寝間着、あとは最初に着ていたコートだけだ。靴なんて、今履いているスニーカーしか持っていない。