翻訳が機能する世界線【D.Gray-man】 (ページ19)

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八十八之門ページ19

「え、」
「わっ、顔色悪いよ？」
大丈夫？、とアレンと同じように自分の顔を見て言葉をかけるジョニー。声を掛けずともリンクまでが此方を向いて様子を伺ってきた。そんなに酷い顔をしていただろうか。原因はきっと単純に陰口への怒りを抑えていたが為だろうが。
しかし、それを彼らに悟られてはならない。悟られてしまったら、余計に不安を煽るだけだ。
(知らないフリをしろ。)
「かなり空腹でな、食に飢えている。」
「なんですかそれ、」
「じゃあ早く食べよ！」
おどけてしまえば、二人は笑い声を上げ、リンクは少し安心したように溜息をついた。お陰でここら辺の空気が和み、自分は安堵する。

ジェリーから頼んだご飯を受け取り、空いた席に四人で腰をかける。相変わらずワゴンに大量にご飯を積んでいるアレンは未だに注目を集めていた。なお、本人は何処吹く風であるが。
暫しみな箸を進めると、向かいに座るアレンが話しかけてくる。
「明日からまた任務に行くので、部屋の掃除をお願いしておいてもいいですか？」
部屋の掃除、というのは最近自分がコムイから任された仕事の一つである。
エクソシストという職は教団に衣食住を提供されているとはいえ、任務であまり教団には帰っては来ない。その為、部屋を放置しがちで誰かが掃除しなければ自然と埃が溜まるのだ。かといって、気の知れない相手にプライベートな空間を任せるのは気が引ける。そこで、何者でもない自分が彼らの友人として、彼らが申し出た場合のみ掃除することになった。
「ああ、いいぞ。」
「アレンって意外に片付け苦手だよなぁ。」
快く答えると、思い出したかのようにジョニーが呟く。それにアレンが顔を少し赤らめ、「そ、そんなことないですよ！」と否定する。
(これは苦手そうだな。)
なんて、アレンの反応を見て勝手に分析する。リンクもこればかりはジョニーに同意のようで、アレンの意見をあっさりと否定した。
「ギルの言う通り、君はもう少し自分のことを自分でやりなさい。」
「えぇっ、リンクまで！？」
ガーン！と効果音が付きそうな感じにショックを受けるアレン。自覚が無かったようだ。
まるでアレンの母のような発言のリンクに少し笑いそうになるが、また殴られると困るのでそれを抑え込む。そこから、アレンがまた反論をしてリンクとの口論が始まる。ジョニーと自分はそれを呑気に眺めながら再び箸を進めた。すると、ふと後方から自分を呼ぶ声が聞こえた。
「〔白桃〜！〕」