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七十之門 ページ46

____それから、数日後。

『白桃、おはようございます。』
午前九時半、にこやかにアレンから声をかけられる。しかし、自分はそれに顔を顰めてしまった。
「……………忘れてたな。」
アレンの言葉が英語に聞こえる。いや、それが本来正しいことなのは十分理解している。今まで会話が出来ていたのはコムイの作ったあの薬品のお陰だったのだ。それの効果が切れたということだろう。ここ数日、普通に会話が出来ることに慣れてしまって、これが薬品のお陰だということを忘れていた自分が悪い。
『?、どうかしましたか?』
とはいえ、何と言えばいいのだろう。自分は考えながらじぃっとアレンを見つめ続ける。
『??あ、あの…?』
何の反応も示さない自分にアレンはとうとう困り始めた。アレンは何も悪くないが、自分は自身の浅はかさを嘆くつもりで彼の目の前で深く溜息をついてしまった。
『え、僕、何かしましたか…?』
「あい、きゃんと、すぴーく、いんぐりっしゅ。」
きっと勘違いしたであろうアレンが、渋い顔で焦る。それに自分は、すかさず、簡潔的に説明した。
『えっ、』
「そーりー、」
取り敢えず軽く頭を下げて謝罪の言葉を言い、自分はダッシュでこの教団で唯一言葉が通じるコムイの元へと向かった。


________________________________




「コムイさんは居るかッ。」
バンッ!!
勢いよく室長室の扉を開け、コムイの名を呼ぶ。そんな自分を、扉を開けてすぐ目の前の室長席に座るコムイは驚いた様子で此方を見ていた。
「………あっ!薬の効果が切れたんだね!?」
状況を理解したらしいコムイがポンっと手を叩き合わせた。流石は優秀な科学者。頭の回転が早くて助かる。自分は高速で頷くと、コムイは少し苦笑いを浮かべた。
「あ、でもちょうど良かったよ。君に渡したい物があったんだ。」
そう言って彼は席から立ち上がり、未だ片付かない机の上をガサゴソと漁り始めた。そして、何かを引き摺り出す。
「渡したい物、か?」
相変わらず管理能力がなっていないコムイに呆れつつ、少し早歩きでコムイの元へ行き問いかける。それと同時に、彼もまた自分の方へと向かってきた。
「これだよ。」
はい、と差し出されたそれは、近代的なデザインのイヤフォンとマイクであった。自分はそれをじっと見つめゆっくりと受け取る。
「これって…。」
形状からしてもしかしてと思い、コムイを見ると彼は優しく微笑んだ。
「君専用の、翻訳機だよ。」

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雪音(プロフ) - 餓羅鑼さん» コメントありがとうございます。マイペースですが更新頑張っていきます。 (2021年6月14日 6時) (レス) id: 8e077a453c (このIDを非表示/違反報告)
餓羅鑼 - 続編万歳ですっっ!!更新楽しみにしてます! (2021年6月14日 0時) (レス) id: 23f9dcf647 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪音 | 作成日時:2021年6月13日 21時

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