四十之門 side Link ページ12
気味の悪い奴だ、心の底からそう思う。思えば、彼は初めから不気味であった。
大したオーラも感じられないのに、その瞳だけは酷くギラついている、酷く矛盾した少年。それが虎門白桃という人間に対して初めて抱いた印象だった。
初めて会ったとき、訳の分からない言葉を呟かれ理由も聞けずに立ち去られてしまった。少し引っ掛かりを覚え、ウォーカーから今のは誰かと問い詰めた時に英語が話せないことだけを知った。その時自分は何故、「ああそうなのか、」と納得して終われたのだろう。不可解なところは幾つもあった筈なのに。
突拍子も無く現れ、平然とこの教団に居座っている。室長であるコムイからは、中央庁の人間としては未だに何も言われていない。たまたま、アレン・ウォーカーの監視としてエクソシスト招集時により詳しい事情を聞いただけである。きっかけが無ければ知ることも、気に止めることすら無かった。
彼は普通であった。見た目も、態度も、何もかも。しかしそれと同時に全てが謎に包まれていた。
そう。本来ならば、出会った時点で中央庁へと報告するべきだったのだ。
結局、彼とまた関わることになったのはこの時まで無かった。しかし、私にとってこれは絶好の機会だ。少々雑に問い詰めても、自身よりは弱そうなこの少年を力でねじ伏せることなど簡単な事だ。
(害があれば、すぐに中央庁へ報告してやる。)
そんな思いを読み取ったのか、先程まで争っていたウォーカー達の視線が集まった。
しかし、そんなことは気にしないしどうでもいい。私は中央庁の人間として、異端児は即刻に報告する義務がある。それが監査官というものだ。その使命を果たすため、私は向かい合う琥珀の瞳から目を逸らさなかった。
暫く黙りを決め込んでいた彼の口がゆっくりと動く。
(さあ、何を言う。)
『＿＿＿…んー…人？は当たり前として……役職的な意味…？フリーター…ニート？いや働いてはいるよな……すまないよく分からないな。』
ピシャリと言い切る少年に対して少し青筋が立つ。なんだその曖昧な答えは。のらりくらりと腹の立つ奴だ。
『言葉を変えます。貴方は千年伯爵の仲間ではないのですか？』
『ちょっとリンク！』
ウォーカーが制止するがそんなものは無視だ。
『そんな滑稽な名前の知人には居ないな。』
『…ッ、！』
何だ此奴は。言動全てに抑揚が無く、表情も読めない。動揺することも無く、淡々と事実を述べるだけのような態度。
(気味が悪い！)
心の中でそう叫んだ。
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雪音(プロフ) - 餓羅鑼さん» コメントありがとうございます。マイペースですが更新頑張っていきます。 (2021年6月14日 6時) (
レス) id: 8e077a453c (このIDを非表示/違反報告)
餓羅鑼 - 続編万歳ですっっ！！更新楽しみにしてます！ (2021年6月14日 0時) (レス) id: 23f9dcf647 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪音 | 作成日時：2021年6月13日 21時
