第２話 ページ18
彼女と彼の出逢いはなんとも偶然で、奇妙な形であった。
春、それは死柄木弔という青年にとっては、だいぶ面白くない季節である。
どこもかしこも人々の希望に満ち溢れた笑顔や、楽し気な声で溢れ返る
暖かな陽射しも、
生き生きとした植物も、
世界中が全てを祝福しているようで気にくわない。
彼は春が嫌いだった。
そんな幸せな人々や空気から逃れるかのように、死柄木は１人、山に来ていた。
この時期はまだ、ハイキングには少し早い。つまりは人がこんな山奥にくる理由がないのだ。
彼は久々に感じる心の平穏と共に、山道をゆっくりと歩いていた。
その時だった
甘い花の香りが死柄木の鼻をくすぐる。
(花…？薔薇か…)
何故、こんな山奥で薔薇の香りがするのか？
『知りたい』と思っただけ。
彼が薔薇を探し始めた理由は、ただそれだけだった。
「ないじゃないか…」
死柄木は不機嫌に呟き、首をガリガリと掻いた。
彼のその行為は癖なのだろう。
赤黒く痛々しい傷痕が何本も首にある。
薔薇の香りはすぐ近くでするのに、薔薇の花は見つけられなくてもどかしい。
が、流石に歩き疲れたのか、それともただ不貞腐れたのか、死柄木は近くの木に寄りかかる。
フワリ
そんな死柄木の前に春風に運ばれた薔薇の花弁が舞い踊った。
彼は少し考えた後、風と花弁がきた方へと進むことにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ネコにゃーさん(プロフ) - サラノさん» 温かい言葉、ありがとうございます(泣)実は本編でも書きましたが、私、物語書くのを暫く止めようと思います…本当に勝手ですみません。沢山のリクエスト、楽しくて嬉しかったです！ありがとうございました(T-T) (2016年12月8日 19時) (
レス) id: 0b2ad7d60a (このIDを非表示/違反報告)
サラノ(プロフ) - 早く再開できるように頑張って下さい( ＾▽＾) (2016年12月3日 23時) (レス) id: 79641d3646 (このIDを非表示/違反報告)
ネコにゃーさん(プロフ) - サラノさん» すみません！ミスです…指摘ありがとうございます！ (2016年11月9日 21時) (レス) id: 0b2ad7d60a (このIDを非表示/違反報告)
サラノ(プロフ) - タイトルのロスがロストになっていますよ〜！ (2016年11月9日 20時) (レス) id: 79641d3646 (このIDを非表示/違反報告)
ネコにゃーさん(プロフ) - ミリイさん» 了解しました！今書いてるのが終わり次第始めます！ (2016年11月4日 7時) (レス) id: 0b2ad7d60a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ネコにゃーさん | 作成日時：2016年9月20日 18時
