06.再会 ページ7
ア「...ずっと...こうしたかった...」
アツヤはそう言うと、力強く締め付けてきた
「ぐ...くるじい...アツヤ...」
ア「わり...でも...アニキ越しにずっと見てたから
羨ましくて、やっと叶って嬉しいんだ」
「...私も...ずっとっ...会いたかった」
私達はお互いの寂しさを埋めるように、離れなかった
その間も私は涙が止まらなくて
嬉しくて嬉しくてたまらなかった
「ねぇ...士郎は居るの？」
ア「アニキとは今、一時的に交代しているだけだ。
あんま長い時間代われねぇから、そろそろ戻る」
「そっか...もっと話したかったな」
ア「...部活終わりとか...少し話すか？」
「いいの？」
ア「あぁ、アニキに頼んでみる。
オレもせっかく話せたのに、時間ないの嫌だし」
「...アツヤ...助けてくれてありがとう」
ア「ん？あー...うん」
「お礼言えてなかったから」
ア「そんなんいいのに、好きな奴は守りてぇだろ？」
「うん、そうだね」
ア「華麗にスルーかよ！
まぁいいや、アニキのこと頼んだぜ…A」
アツヤは私の頭を撫でて、眠るように目を閉じた
「またね...アツヤ」
吹「...ん...A...アツヤと話せた？」
「士郎...自分で気付いてるの？」
吹「うん、ちょっと前からだけど...
アツヤがAと話したいってうるさくて...」
「なんだ...そうだったんだ」
吹「ごめん、気を使わせたよね
もっと早く、君には伝えるべきだったのに」
「ううん、大丈夫。
久しぶりに話せて、すごく嬉しかった」
吹「それなら良かった。
さぁ、家に帰ろ？」
士郎は私に右手を差し出してきた
私は答えるように、左手をのせると
優しく握ってくれた
「うん」
私達は家路に着いた
「ねぇ、そう言えばどうだった？」
吹「ん？何が？」
「告白だよ」
吹「あー...ﾊﾊｯ...早く終わらせようとして...すぐ返事したら
泣いちゃって...その後大変だったよ」
いつも通り、ﾍﾗｯと笑う
「そっか...お疲れ様。」
吹「...妬いてる？」
「ﾌﾌｯ、まさか」
吹「えー...Aってホント、僕に興味無いよね」
「ん？無いわけじゃない」
吹「えっ...」
「......私は...みんなが好きだよ、士郎もアツヤも」
私は少し恥ずかしくなって、ﾊﾊｯと笑って誤魔化した
吹「...うん、僕も。Aのそういう所、いいと思う」
「ありがとう...っなんか熱いね！家まで競走！」
吹「あ！ずるいよっ」
「ｱﾊﾊｯ」
さらに恥ずかしくなった私は
士郎の手を離し、家まで全速力で走った
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作者名：エト | 作成日時：2023年9月14日 2時
