17.開花の瞬間 ページ17
鬼「ぐっ！...来たかっ」
私が手を開くと、鬼道くんは猛吹雪に襲われた
私の後ろには、大きなキタキツネが姿を現した
思い切り踏み込み、鬼道くんに向かうと
後ろから背中を押すように、風が吹いてきて
ものすごい速さでボールを奪った
鬼「.....」
「...取れた...必殺技...出来た」
円「すげぇー！！冬樹、何今の！」
鬼「期待以上だ...」
「やった…やった...っ」
円「眼鏡に名前、つけてもらおうぜ」
鬼「いや、今回は俺がつけてやろう」
「...？」
鬼「メモリー・スノー、あえて飾らずそのままに
お前のこれまでの思いがつまり、人を傷つけない優しい技だ
何より呼びやすい、どうだ？？」
「...いいね...本当にありがとう...鬼道くんっ...」
鬼「礼には及ばない、冬樹が頑張ったからだろ」
これまでサッカーが出来ずにいた苦しみ
何度やっても出なかった必殺技
周りから非難の声
私の胸にあったその全てが消し去られた
メモリー・スノー...私の技...
士郎に...出来たこと話したいな
鬼「吹雪なら今休憩中らしい、探しに行くんだ」
「っ！...うん、ありがとう鬼道くん」
鬼「ﾌｯ...義理堅い奴、行ってこい」
私はコートから抜け、急いで士郎を探しに行った
外に居なかったから、多分教室かな
校舎に向かい、いくつかの教室をあたったが
士郎はいなかった
うーん...あと行ってないのは部室と...倉庫かな
先に近い体育倉庫を見に行くと
そこで水分補給している士郎が居た
「.....士郎」
吹「A､昨日は「昨日はごめん！！」...？」
「士郎の気持ち考えてなかった、
心当たりなくて頭に来てたけど…
1人でいたい時の気持ちって自分にしか分からない
私、それでも一緒に居ようとして...しつこかったよね」
吹「...A､こっちに来て」
飲んでいたボトルを置いて、士郎が真っ直ぐ見てくる
私は言われる通り、士郎の前に行くと
そのまま腰あたりに手を回され、グッと引き寄せられた
「...士郎「聞こえる...？僕の音」...」
身長が私より高いため、ちょうど胸の辺りに耳が当たる
士郎の胸に耳を向けると、鼓動が少し早く聞こえた
「...少し早いね」
吹「うん...ごめん、最近二人でいるとこうなるんだ」
「私といると、胸が苦しくなるの？」
吹「うん、すごく苦しい...でもとても幸せなんだ」
それは...士郎が私の事、女の子として好きってこと...？
今まで沢山の告白を断ってきたのもそれが理由？
段々と強くなる力に、私は抵抗出来なかった
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作者名：エト | 作成日時：2023年9月14日 2時
