11.言えない思い ページ12
アツヤは私に抱きついたまま、動かなかった
ア「今気持ち聞いたら...オレ...ダメになるっ...」
心臓の...鼓動が早くて、うるさい
お互い身体が熱くなって、冬でも少し汗ばんできた
息が荒いアツヤが、何度も唾を飲む音が聞こえた
ア「....っ.....ﾊｧｯ...」
アツヤの瞳を見ると、熱っぽくて...私を愛しそうに見てくる
きっと私が今、好きだと言ってしまったら
アツヤと...「そういう事」や「関係」になってしまう
薄々気付いてる、アツヤも私に好意がある
お互い両思いで、幸せに結ばれる
はずなのに
体の持ち主は士郎だから、アツヤは一生懸命抑えている
アツヤは...意識の中の存在
この世には…居ない存在
察しのいい自分に嫌気がさして
結局涙が溢れて、止まらなかった
「ごめんね...アツヤ」
ア「...オレも、ごめん...大丈夫だから...泣くな」
よしよしと私の頭を撫でてくる
どうやら少し、落ち着いたようだ
ア「アニキに変わるか」
「っ...もう少し居て...」
ア「お前...オレがどれだけ我慢してると...」
「それでも...私もそばに居たいの」
ぐずぐずと泣く私を見て、困った顔をした
ア「泣き虫Aちゃん、優しい王子アツヤ様がお話聞かせてあげますよっと」
あれだけダメだと言っていたのに、一緒に寝る事にした
アツヤは布団越しに私に手を置いて、優しく撫でた
それから昔の楽しかった思い出を語って
もっとこんな事がしたかったとか、あぁしたかったとか
沢山話を聞いた
私は安心したのか、だんだん眠たくなってきた
ア「...寝るか」
ｶﾁｯ
部屋の明かりを暗くして、寝る準備をした
「おやすみアツヤ」
ア「おやすみ、A」
アツヤはそう言うと、私の頬に軽くキスをした
「変態アツヤ」
ア「うるせー」
そう言いながらも、お互い少し嬉しそうにしていた
夜もだいぶ更け、私たちは眠りについた
？「...おやすみ...A...」
意識が遠のいて行く中で、唇に違和感を感じた
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作者名：エト | 作成日時：2023年9月14日 2時
