10.気持ちの確認 ページ11
ｺﾝｺﾝｯ
吹「A、入っていいか？」
「うん、いいよー」
部屋のドアをノックして、士郎が入ってきた
吹「...」
「あれ、アツヤ？」
ア「ﾌﾞﾊｯ...もうバレたか」
「わかるよ、士郎とアツヤは双子だけどちがうもん」
私が得意げにそう言うと、アツヤは悲しそうに笑った
ア「A、今日はこっちで寝ていいか？」
「うん、布団持ってこようか」
ア「一緒でいーだろ」
「いや駄目だろ」
ア「いーい」
「だめだめ」
ア「えー」
アツヤは駄々をこねつつも、キャッキャと楽しそうにしてた
士郎の部屋から布団を持ってきて、床に敷いた
綺麗に敷いた途端、アツヤが飛び込んできた
「子供だ...」
ア「うるせーよ、Aも来いよ」
布団に寝そべったアツヤが、私に手を差し伸べた
「うっ......わかった」
あえて手は取らず、隣にスっと静かに座った
ア「恥ずかしがっちゃって、可愛いなぁ」
からかうように、ニヤニヤしながら見てくる
「うるさ...もう...どうしたの、一緒に寝たいって」
ア「ん？別に、そばに居たいってだけ」
さっきから可愛いとか、そばに居たいとか
女の子が欲しい言葉ランキング上位のことばかり
言われるこっちが恥ずかしくなってくる
鏡を見ると、少し顔が赤くなっていた
ア「いま好きな奴とかいるの？」
「居ない」
ア「そっか、アニキは？」
「士郎は...幼なじみとして好き」
ア「オレは？」
「アツヤも一緒」
ア「本当に？」
今も昔も、一緒かと言われると少し違うかもしれない
昔は...アツヤの事、本当に好きだった
そんな気持ち、居なくなってから忘れていた
無理やり諦めて、忘れさせた
思いも伝えられないまま、亡くなっちゃったから
「...アツヤ...っ...本当...は...」
ア「そんな泣きそうな顔すんなよ...ほら、大丈夫だから」
少し泣きそうな私を、割れ物を触るかのように
そっと優しく抱き寄せた
「...っ...アツヤの...馬鹿」
ア「あぁ...わかってる」
私が吐いた暴言も聞き流し、背中を優しく叩いてくる
ア「A...オレの事好き...？」
耳元で、消えてしまいそうなくらい小さな声で
アツヤは聞いてきた
「...アツヤ...私...っ...？？」
ア「......」
気持ちを伝えようとしたら、唇に人差し指を当てられた
ア「駄目だ...ごめん」
アツヤはそう言ったあと、さらに力を込めて
私に抱き着いてきた
アツヤの方が重たいから...私はバランスを崩して
そのまま布団に倒れた
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作者名：エト | 作成日時：2023年9月14日 2時
