01.冷たい朝 ページ2
ｺﾝｺﾝｯ
「A､起きてる？」
ｺﾝｺﾝｺﾝｯ
扉の向こうから聞こえる声とノック音で目が覚める
時計を見ると朝の6時、外はまだうっすら暗い
暖かい布団の温もりが心地いい...もうひと眠り...
ｶﾞﾁｬｯ
吹「ほら...起きて、今日は朝練だよ」
返答が無かったからか、部屋の中に入り
私の布団を優しく叩いてくる幼馴染
うっすら目を開けると、綺麗な顔が目の前にあった
「...士郎」
吹「おはよう、A。やっと起きたね」
私が目覚めたのを確認し、嬉しそうに頭を撫でてくる
毎朝それが日課になりつつあって
なんだか変な気持ちになる
「起こしてくれてありがとう」
吹「行こう、Aのお母さんが朝ご飯を用意して待ってるよ」
「うん」
軽く朝練に行く支度をして、私達は１階に降りた
「「おはよう、お母さん」」
母「A、士郎くんおはよう！朝早く起きれて偉いわね」
「士郎が起こしてくれるんだよ」
吹「ﾌﾌｯ、Aの寝顔を見たいから早く起きれるんです」
母「まぁ...A、将来は士郎くんのお嫁さんになれる様に
今からしっかりしなさいね」
「お母さん...」
母「士郎くんにならAを任せられるわ
優しくてイケメンで...家族思い、文句なしよ！」
「お母さん！」
吹「いいんだA、いつもの事だよ。
僕は嬉しいよ」
「...ご馳走様」
何だか胸の辺りが苦しくなって、私は口の中いっぱいに
朝ご飯を放り込んだ
吹「ご馳走様でした」
ふと士郎の方に目をやると、士郎も気付いて私を見た
大きくて、綺麗な銀色の瞳
長いまつ毛に、サラサラの髪
確かにイケメンだけど
好きとか...分からない
だって、私達はただの幼馴染だから
士郎も...そう思うよね
吹「A？」
「...歯磨きしたら、行こうか」
吹「うん、そうだね」
私は士郎と歯磨きをして、家を出た
寒い中、学校に向かっていると
左手をそっと握られた
「士郎...」
吹「手、冷たくなってる。僕のポケットに入れて」
私の左手を強く引いて、自分のジャージについている
ポケットに入れて、中で温めるように手を包んだ
暖かいな..
私はその優しさに甘える様に、士郎の方へ体を寄せた
吹「A、こんなにくっついたら歩きづらいよ」
「いいじゃん、士郎が暖かいのが悪い」
吹「ﾌﾌｯ...何それ、いいけど」
士郎は笑って、また手を強く握ってきた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エト | 作成日時：2023年9月14日 2時
