一緒にダンスを踊ろうか*R.N (ページ10)

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『.....っは！！！』

さっきまで息を止めていたのだろうか。
肺が酸素を求めて深い息をする。脈が落ち着かない。

.....寝てた？

私はソファーに横になっていて、腰にはブランケットがかかってる。廉かな。

トントントン....リズムのいい包丁とまな板の音が聞こえてくる。れん～とかすれ声を出せば、キッチンから顔が出てきた。

「やっと起きたな。」

『ごめん、寝てたみたい。』

「それはそれはぐっすりやったで」

『え、今何時？』

「20時」

『4時間も寝てたの....起こしてよ.....』

「あほ、叩いても起きんやつをどう起こすねん」

『そらあ申し訳ねえでげす....』

酔っ払いははよ風呂入ってくださーい。なんて催促されるのは廉の妹になって何回目だろう。

キッチンからはお味噌汁と焼き魚のいい匂い。
今日の夜は廉の得意料理だ。

私も手伝おう....まずはお風呂に入らなきゃ。
寝起きで重い身体を引きずって脱衣所に入れば、ポイポイ服を脱ぎ捨てる。
あの頃と比べて随分貧相な身体になってしまった。

自分の身体を哀れみつつ、浴室でボロボロのメイクを落とす。

泣いてマスカラもアイラインもめちゃくちゃになったこのメイクを。

「しっかりしなさいよ....私.....」

落とさなきゃ。

全部綺麗さっぱり。

オイルでクルクル円を描きながら、

彼への未練も愛情も憎しみも、

全部綺麗さっぱり。

もうあの人は戻ってこないんだから。