33 . ページ35
.
流「バケモンなんてどこにおるん」
しばらくの沈黙の後 望が鼻をすすった。
頬を伝う光に望のサラサラな長髪の髪が揺れた。
流「…俺 幼稚園の頃からお前嫌いやってん。 めっちゃ人気者やしなんか憎めへんし。
でもお前が頭打った時 なぜか知らんけど 俺が行かな、 て思ってん」
望「…」
流「なんかほっとけんねんな 望の事」
望はその言葉に反応して ｽﾞｽﾞｯ と鼻をすすりながらもこちらを向いてくれた。
可愛かった幼稚園の頃の望の面影がありながらも 長髪だからか確かに男前になった顔が目の前にある。
その顔に見とれていると 望が ふっ、 と吹き出した。
流「な、なんやねん！」
望「いや 初めてしっかり 望 って名前で読んでくれたなって」
流「そう言われるとなんか恥ずいな… //」
久しぶりに見た望の笑った顔。
初めて見た望の泣いたぐしゃぐしゃの顔と赤く充血した目。
そこから会話は弾み 幼稚園の頃の話にもなった。
あの頃みたいに皆と仲良くしたい、 と思っている望の希望も分かった。
病気で皆を傷つけたくない 嫌がらせされたくない と思っている不安と恐怖も分かった。
そんな楽しい時間に胸が揺らいだ。
望「…おおきに 久しぶりにクラスの人と話せて楽しかった」
流「何言うとんの 一緒に帰るやろ」
俺はそう言って望の髪を掴んで 荒めに頭を撫でた。
そのままランドセルを背負った背中を向けながら 俺は教室を出ていった。
こんな笑った事ない ってくらい望と一緒に帰った時間は楽しくて面白くて
そして何より 嬉しかった。
俺は望が好きなわけじゃなかった むしろ嫌いだった。
でも気づいたら望に声をかけていた。
理由なんてない 無意識だ。
でも俺には分かっていた。
あいつはいい奴だ あんな端っこにいるような奴じゃない
そんな望の良さにいち早く気づいていたのが今に繋がっている。
今の俺は 望がいなきゃ居なかったかもしれない。
今の望は 俺がいなきゃ居なかったかもしれない。
そんな偶然 運命の連鎖が今の望を支えている。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
孳埜(プロフ) - Nextさん» ありがとうございます！最近忙しくてお話かけてなくて...そんなこと言っていただけるなんて感謝感激です！！これからもご愛読よろしくお願いします(_ _*) (2019年3月2日 12時) (
レス) id: b5c8d0b27b (このIDを非表示/違反報告)
Next - 続きが楽しみです！更新、無理せずに頑張ってください！ (2019年3月1日 21時) (レス) id: cf1942b956 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：孳埜 | 作成日時：2019年1月30日 22時
