１１２【F】 ページ13
風磨side.
.
｢ほら中島、早く行けよ｣
｢は、まって！俺、今 Aちゃんに幻滅されてて…｣
｢はぁ？知らねぇよ。永瀬怒らしたら怖いんだから行っとけって｣
｢や、でも…｣
ったく、お前らはほんと幸せだよ。
お互い想い合ってるくせに、こんなにすれ違いやがって。
｢な、中島くん！！｣
｢ハイッ！｣
びっくりした。
りさちゃんの大きい声は初めて聞いたから。
｢お願い…行ってあげて｣
りさちゃんの、真っ直ぐで真剣な目。
A、いい友達持ってんなぁ。
｢…っ……分かった｣
｢ほら！｣
俺は精一杯の気持ちを込めて、中島の背中を強く叩いた。
｢ありがと、行ってくる！｣
そう言って走り出した中島。
あーあ、あんないい顔しちゃって。
…俺も、ハッキリしなきゃなー。
｢ふぅ…よかったぁ｣
｢ありがとなりさちゃん｣
｢ううん、私はこれぐらいしかできないから…｣
｢そんなことない。りさちゃんは優しいよ｣
｢…え｣
１歩、距離を詰める。
｢りさちゃん｣
｢…なに？｣
｢アイツ…朝陽のこと、好き？｣
｢うん、大好き｣
1秒の間もなく返ってきたその言葉に、思わず笑いがこぼれた。
まぁそうだよな。
俺が入る隙は1ミリもない。
朝陽 統牙は、本当にいい奴だ。
俺は特別仲良いってわけじゃないけど、友達ぐらいには入ると思う。
そう、友達の彼女。
そんな子に俺は恋をしてしまった。
なんでこうも上手く、世界は残酷に成り立っているんだろう。
｢ははっ…そっか｣
｢どうしたの？急に｣
｢や、なんでもねえ。…これからも、お幸せにな｣
なんて、100パー嘘だ。
そんなのまっぴらごめんだ、クソくらえだ。
「ありがとう」なんて、
そんな可愛いカオで言ってんじゃねぇよバーカ。
……それでもやっぱり、綿菓子みたいなこの笑顔を
見れなくなるのはもっとごめんだから。
わかってる。君の幸せを壊すことはしない。
───だからせめて、
もう少しだけ、�猴�達�瓩任い気擦董�
｢あ──あ、中島は今頃どうしてっかなー｣
｢上手くいってるといいね｣
｢うん、絶対大丈夫｣
りさちゃんとクスリと笑い合う。
…俺もいつか、あいつらみたいに
新しい恋ができる日が来るんだろうか。
｢……来たらいいなぁ｣
｢え？｣
｢んーん、なんでも！｣
目を瞑って、ゆっくり大きく伸びをする。
清々しい快晴の空に
乾いた風がカラリと吹いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 866人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆ(プロフ) - ☆さん» わざわざご指摘ありがとうございます＾＾ 編集しておきました！ (2019年8月18日 18時) (
レス) id: 7567a4acfb (このIDを非表示/違反報告)
☆ - パート1→2ヶ所、パート2→2ヶ所間違い指摘したので直してもらえたら嬉しいです (2019年6月30日 13時) (レス) id: 44d28ad2ed (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - ゆ な のさん» 謝らなくて大丈夫ですよ(* ´ ▽ ` *)ゆなのさんの支えに慣れて光栄です！(〃^ー^〃) (2018年3月13日 10時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ な の(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» お待たせしてすいません( / _ ; ) いつもありがとうございます！とっても支えになります(;_;) これからもよろしくお願いします！ (2018年3月4日 19時) (レス) id: 7567a4acfb (このIDを非表示/違反報告)
ゆ な の(プロフ) - 白兎さん» ありがとうございます(;_;) そこまで褒めいただいて光栄です(>_<) こちらこそありがとうございました！！これからも是非よろしくお願いします。 (2018年3月4日 19時) (レス) id: 7567a4acfb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆ な の | 作成日時：2017年12月20日 22時
