６９ ページ20
.
｢は───い！ペアこうた───い！｣
ピ──ッと乾いた笛の音と共に、
玉ちゃんの声が辺りに響いた。
踊りを停止したあと、
スルリと 私と廉の手が離れる。
…ていうか、なんで玉ちゃん
笛なんて持って来てるの…。
相変わらずな担任の不思議な行動に、
私は小さく苦笑した。
｢じゃあ、女子が１人ずつ右にずれてね──！
ちゃんとペア代わるんだよ───！｣
みんな、ざわざわと動き出す。
｢じゃあね、廉｣
｢おん｣
｢───ありがとう｣
何気なくそう言って、私は廉から離れた。
廉が楽しませてくれたおかげで、
少し 心が軽くなった。
｢…あ｣
すると、ぽつりと聞こえたその声。
私の、次の相手は…
｢Aじゃん｣
｢───わ、風磨｣
相変わらず余裕そうな表情で、
風磨が立っていた。
｢お前と踊ると事故りそーなんだけど｣
｢なっ、大丈夫ですぅー｣
そんなことを言いながら、手を取り合う。
音楽も 徐々に流れ出していた。
｢あ、案外 上手いな｣
｢でしょ(笑)｣
リズムにのって足を動かしながら、
風磨の手、大きいなぁ
なんて思っていると。
｢────で？｣
｢へっ？｣
｢お前は、何をそんなに悩んでんだよ｣
………え…？
｢………な、…悩んで、なんて…｣
｢バレバレ｣
…なんで、そんなこと…。
｢どーせ、中島だろ？｣
｢……っ…｣
────どうして？
ちがう、違う
そうじゃないの。
｢……っ、あのね｣
｢うん｣
｢……芹那ちゃん、って。
…中島くんのこと、好きだと思うの｣
｢…へぇ｣
｢本人は否定してるんだけど、嘘 下手で。
…２人は、お似合いだし……いつか、
芹那ちゃんの気持ちが届いたらいいな、
って……｣
｢……｣
｢…だからね、悩みとか…そんなんじゃなくて。
ただ、芹那ちゃんを応援しようって、
決めただけで………｣
必死に、思ってることを言葉にした。
必死に、頑張った。
………のに、
．
｢─────嘘が、
下手だなA｣
──────必死に。
押し込めてた、
気持ちが今、
溢れる。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1649人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆ - 72【…なんだんだったんだよ今の時間】→なんだったんだよ、 74【かぶったゃったの】→かぶっちゃったの だと思います。 (2019年6月30日 13時) (
レス) id: 44d28ad2ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - KANTO LOVEさん» 嬉しいです…！ありがとうございます＾＾ (2019年3月30日 23時) (レス) id: 7567a4acfb (このIDを非表示/違反報告)
KANTO LOVE - ドキドキ止まらない〜 面白い！！！ (2019年3月30日 23時) (レス) id: 367f723e61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ な の(プロフ) - フレッシュいちごパフェさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(;_;) この度 移行を完了致しましたので、ぜひこれからもよろしくお願いします＾＾ (2017年12月20日 22時) (レス) id: 7567a4acfb (このIDを非表示/違反報告)
フレッシュいちごパフェ(プロフ) - 続きめっちゃ気になります！ドキドキしちゃう！更新頑張って下さい！ (2017年12月20日 21時) (レス) id: e2571d8f27 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆ な の | 作成日時：2017年3月23日 0時
