４０ ページ41
.
５限目は数学。ネチネチした嫌いな先生だ。
玉森先生の授業だったら、苦手な数学も少しは
好きになれるのになぁ、なんて思ったり。
そんな急降下したテンションで、渋々
教科書やノートの準備を始める。
中島くんは、いつのまにか席に座っていた。
何事もなかったかのように、平然と。
今日１日、右隣の中島くんとこの距離で授業を
受けてきたけれど、やっぱり全然 慣れない。
…正直、毎度毎度、ドキドキしている。
いや、うん。
普通、しないほうがおかしいよね。
｢きりーつ｣
日直の号令で、みんなガタガタと立ち上がった。
｢…っ｣
そうやって椅子から立つ時、
私は右側、中島くんは左側に立ち上がったため、
必然的に軽くぶつかる身体。
────ああ、しまった。
今度こそ左に立ち上がろう、って
決めていたのに。
これは今までの授業で毎回あったことだ。
中島くんも右利きなんだから、普通に身体に
任せて右側に立ち上がったらいいのに、なんて
ふと思った。
…もしかしてこれも、
私をオトすためだったり？
なんて、こんなことを思うなんて
自意識過剰かもしれないけれど、私もそんなに
鈍いほうではないのだ。
これぐらいは、別に思ってもいいよね。
そして始まったネチネチした先生の
ネチネチした話。
それでも必死にノートをとっていると、
たまに中島くんと私の腕も触れる。
その度に、ドキッとしてしまう自分がいる。
顔が火照り始めた、そんな時。
｢Aちゃん｣
中島くんがいきなりこっちを向いて、
少し小さめの声でそう言った。
私はドキリとしないわけがなく。
｢…な、なに？｣
１度 合わせてしまった目を慌てて逸らした。
だって近いんだもん。
｢ごめん、シャー芯 全部なくなっちゃってさ。
１本くれない？｣
手を合わせていそんなことを言ってくるから、
もう鼓動は速まるばかり。
だからさっき、なんだかカチカチカチカチ
うるさかったのか、と納得もする。
｢ああ、うん、いいよ｣
できるだけ平然を装って、私はそう答えた。
────でも、内心は
速まる鼓動を抑えるのに、必死だったんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1908人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「中島健人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆ - 22【以外にも近かったことに気づく】→意外にも、 31【どういたまして】→どういたしまして だと思います。 (2019年6月30日 13時) (
レス) id: 44d28ad2ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆ な の(プロフ) - suzuさん» ありがとうございます(;o;)！！ そう思っていただけると本当に嬉しいです(；///；) 頑張ります！これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2017年3月18日 21時) (レス) id: 7567a4acfb (このIDを非表示/違反報告)
suzu(プロフ) - この作品大好きです！！更新頑張ってください！応援してます（☆ω☆*） (2017年3月18日 21時) (レス) id: f4e48bdb80 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ な の(プロフ) - かりんさん» ありがとうございます(;o;)！遅くなってしまってすみませんでしたm(｡>__<｡)m (2017年2月27日 19時) (レス) id: 7567a4acfb (このIDを非表示/違反報告)
かりん - 大量更新嬉しかったです（≧∇≦） (2017年2月24日 23時) (レス) id: 7ebf97f1ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆ な の | 作成日時：2016年12月14日 21時
