27 ページ27
しばらく泣いているAを俺は、抱き締めることも出来ず
ただただ立ち尽くしてそこにいることしか出来なかった。
Aは、ふらりと立ち上がると俺の顔も見ずに背を向けて歩き出した。
い「待って!」
『触らないで、帰る。』
ここから最寄り駅まで歩けばかなりあるし、この時間だとバスもない。
タクシーを呼ぶのは可能だが、きっと今のAじゃタクシーも呼ばずただただ真っ直ぐ歩くだろう。と思ってしまった。
……でも、そんなのは俺の建前だ。
あんな事を言っておいた癖に、まだ離れたくない。なんて身勝手なことを思ってしまう。
無意識に俺は離して!と抵抗しているAを他所に、腕を無理矢理つかみ歩き出した。
い「送るから。お願い、…せめて車に乗って。」
車に着き、いつもの助手席を開ければそれを無視して後ろの席に乗り込んだ。
まぁ、そうだよな。なんて助手席を閉めながら思い運転席へ乗り込みチラッとバックミラーを見ると、無言で窓ガラスの方へ
顔を向けるAの姿が写った。
エンジンをかけ車を走らせる。
静か空間でお互い何も話さない事が、今の俺らの心の距離を表してるようだった。
このまま、Aを家に送り届けたらなにもかも終わる。
無論、二度と会うことは無いのだろう。
メッセージも電話番号も全部消されて、ただの赤の他人に戻るんだろう。
そして俺は、ユキと結婚するんだ。
許嫁と結婚する。
2年前の俺ならすんなり受け入れて結婚しただろう。
恋愛や愛なんて、興味がなかった。した所で、俺には未来を約束された相手がいる。
それなのに、Aと出会ってからは俺の考えは全て変わった。
39人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユリア(プロフ) - てっきりifくんと結ばれると思ってました。構成などよくできていて驚きました!!これからも応援してます(^▽^)/ (7月21日 18時) (レス) @page42 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖君@らびまるもしもちゃん推し - あぁ、私の性癖にストライクした... (2023年4月10日 14時) (レス) @page42 id: 6f9faa66b6 (このIDを非表示/違反報告)
でぃあ(プロフ) - Comet@すいでいさん» コメントありがとうございます!この作品を好きと言って頂けて光栄です…(՞ ܸ. .ܸ՞)"他にも投稿してるので良ければぜひ見てください〜! (2022年10月6日 22時) (レス) id: ffe1821f7f (このIDを非表示/違反報告)
でぃあ(プロフ) - ロスさん» 嬉しいです!ありがとうございます( ¨̮ )︎︎♡完結致しましたので、ぜひ読んでください〜! (2022年10月6日 22時) (レス) id: ffe1821f7f (このIDを非表示/違反報告)
でぃあ(プロフ) - ポテト美味しすぎない!さん» 夢主ちゃん辛い恋愛してますよね…(т-т) (2022年10月6日 22時) (レス) id: ffe1821f7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:でぃあ | 作成日時:2022年4月20日 10時