よ く ば り

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俺はいつもの待ち合わせ場所で、たばこを1本取り出し
Aを待った。







『 お待たせ。あ、私にもちょうだい？』





い「ん、どうぞ。」






俺が箱から1本だけ出すと、ううんと首を横に振り
俺が吸っていたたばこを奪い、オレンジのリップが乗った
唇に近づけ吸った。


2年経っても、彼女の行動には驚かされるばっかりだ。
彼女は行こっか。と言って俺の手を取り歩き出した。





俺が予約したレストランに合わせてか、黒のドレスコードが
Aの白い肌に合っていて綺麗だった。








Aの髪が揺れ動くのを見つめていると、振り返って
" はやくはやく〜！ " と子供のように急かしてきた。

なんだか、今日のAはいつもより少し機嫌がいい気がする。



















あぁ、このまま時間が止まればいいのにな



















・


















・











『 ディナー、すごく美味しかったね。』







い「ね、美味しかった」









俺の車までの道のりをAは、俺の腕を組みながらゆっくりと歩く。








『 ……へへ、てっきり今日ってなんか記念日だっけー？って
思っちゃった笑』







冗談っぽく空元気で言うAに心が傷んだ。
今までAは、結婚に憧れはあるが俺に結婚をせがんだりとかは、したことが無かった。

俺もAも、そろそろ結婚しててもおかしくない年齢だから
多分、…いやきっと、今日俺にプロポーズしてもらう事を期待していた分ショックがでかいんだと思う。









でも、ごめん。










い「あのな」



い「俺、結婚するんだ。」









こんな俺で、ごめんね。

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