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11.ただの逃避行 ページ15

弾む息、風をきる疾走感、繋がれた右手。
恋や愛などの言葉を添えたら、たちまちドラマチックな展開だ。
男に導かれるがまま迷路のような路地裏を駆け抜ける。
足をもつれさせないよう配慮しつつも目の前の背中に視線を向けた。

スレンダーな体型で高身長。
波打った柔らかそうな髪が踊り狂い、砂色の外套の裾がはためく。
ぐらつくこと無く私を受け止めたということは衣の内に上質な筋肉が隠されている筈だと考えると……うん、妄想が加速する。
面食いごころが発生した途端に彼が歩調を緩めるものだから危うく激突しそうになってしまった。何とか踏みとどまると手を優しく解かれる。

「ここまで来れば一先ずは安心かな」

くるりと振り向き、呼吸を乱さず飄々と言ってのける男。
思わず息を呑んでしまった。
妄想をぶち破る程の完全なる美形。
眉目清秀という言葉がたいそう填る。
長めの前髪からは鳶色の双眸が覗き、柔らかな光を灯す。
どの位の女を虜にしては泣かせてきたのだろう。2桁は固いな。いやいや、3桁か?
詮索に花が咲く。

「おーい、そんなにお熱い視線を注がれると私でも当惑してしまうよ。お嬢さん」

おどけたように笑う彼は伊達男から甘いマスクの好青年へと大変貌を遂げた。
ついつい見とれてしまったが、彼が私の顔の前で手をヒラヒラとふってアピールするものだから意識が現実に引き戻された。
「………あっいや、すみません」
すかさず咳払いをして何とか取り繕う。

「先程は危ない所を助けて頂き、ありがとうございました。ご厚情痛み入ります」

「たまたま通りかかっただけだから。そんなに畏まらないで。それよりもお嬢さんみたいな一般人があんな物騒な場所にいるってことに私は些か疑問を抱くよ」

「ははは、すこしばかり道に迷ってしまいまして……」

「少しばかりねぇ」と繰り返しながら彼は瞳を細めた。鋭い眼光に全てを見透かされた気になる。美青年であろうとも独特な雰囲気から、人には言えぬ職についているという考察が導き出される。
しかしながら、疑問点をを誤魔化さず尋ねた所に彼の真意がある気がしてならない。加えて彼の瞳が全てを物語っている。
彼は……おそらく白だ。もう1度、彼と視線を合わせる。よし、白。

「実は……」といって切り出す。
会社から出向が言い渡されたため今日が初出社であること、そして、総務創科の場所が分からずに迷ったことを端的に述べる。

12.拍子音→←10.もしかしてのアバンチュール



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作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます!こんなハチャメチャな夢主、需要あるのかな?と不安だったので、そう仰って頂けると嬉しいです!オチはですね……。後々あかしますね。個人的にオチを先にお知らせするというのはどうにもピンとこなくて……個人的な見解で申し訳ないです (2017年7月28日 18時) (レス) id: b086ef1462 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - うわぁぁぁ文才ありすぎません?設定がしっかりしてて読んでて楽しいです!!渡辺ちゃんの謎?も気になりますし…笑笑。あと気になるのはこの小説って誰落ちなんですか?(太宰さんがいいなぁ…←図々しい汗)更新頑張ってください!!! (2017年7月26日 13時) (レス) id: a8e89100ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年7月2日 15時

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