6.朝日 ページ8
ちゅんちゅんちゅん
擬音で表現するならば正にこんな感じ。
小鳥のさえずりと差し込める日差しが目元にかかる事によって朝の訪れを感じた。
はて、海外セレブも御用達である高級マットレス、愛しのマイベットは……こんなにも硬質で弾力性に欠ける感触だったのだろうか。
極めつけに鼻腔をくすぐる畳の匂い。
鼻を刺激された事で昨晩の記憶が沸き立つ。
身の毛がよだつ。
ぶっちゃけ、起きたくない。
二度寝、いやいや、三度寝くらいはしても……甘い考えがちらつくが重い体を叱咤した。
3、2、1
心の中で盛大にカウントをして腕に力を入れるが、どういったことでしょう。
ばふん、あろう事か鈍く低い音が私の身体から発生した。
腕から背中にかけて起こる鈍痛。
器械運動の倒立前転に挑戦中と仮定しまして……その時に勢い余ってマットがない所で背中から落ちた時の悶えるような痛み。
つまり、私の腕が私の体重を支えられずに瞬殺で布団に逆戻りしたという訳だ。
痛い、物凄く痛い。
痛みに耐えきれず涙目になるが、お陰様で眠気とは決別した。
恐る恐る体を起こすと体の節々が痛かった。
痛みで顔をしかめると耐えきれずに零れたとでもいうような極控えめな笑声が聞こえてきた。
それは徐々に勢いを増し爆笑に至る。
どちら様か分からないが実に腹立たしい。
恨みがましい目を向けると｢わりぃわりぃ…………あんまりにも必死こいてぇるもんでさぁ。まいったまいった。腹がねじれちまう……ぶっはっふっはははは｣あっけらかんと言い張る男に度肝を抜かれた。
つむじに流れを任せた無造作ヘアー。
帯が解けかかっていて色褪せた黄土色の浴衣。
声の主は清潔感の欠片も伝わってこない、かの落語心中の登場人物、助六であった。
彼の目は真誠に物事を写す光を灯していた。
遠慮なく腹を抱えて笑う所からこの感想が生まれたのかもしれないが、それでも確かに目が合った瞬間、分かった。
そしてもう一つ印象深いのはまつげだ。
くるり上がっていてビューラーいらずの天然まつ毛。
意外なことにも落語天下の助六様のまつ毛は女の子が苦労を重ねて作り上げる小鹿まつ毛であった。
それに今は笑い転げていて判断はつかないが、これは絶対にくっきり二重のくりくりお目目だ。
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司(プロフ) - かさむらさん» ありがとうございます！ゆっくりな更新になるかとは思いますが、また覗きに来てください😊 (2022年3月10日 20時) (
レス) @page12 id: a9e06ac14f (このIDを非表示/違反報告)
かさむら(プロフ) - 好きです😭 (2022年2月21日 1時) (レス) id: 4aae2010b1 (このIDを非表示/違反報告)
司(プロフ) - 返信遅くなってしまい申し訳無いです。三年ぶりの更新ですのでこのページにいらっしゃる事はないかと思いますが、完結させるまで描きたいと思います。コメントありがとうござました！！ (2020年4月30日 20時) (レス) id: 619e207b44 (このIDを非表示/違反報告)
はな - 好きです (2018年10月4日 12時) (レス) id: 45985fda0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：司 | 作成日時：2017年6月12日 12時
