1.始まり ページ1
不運の連鎖、悪いことは相次ぐ、とはよく言ったものだ。
始めは些細なことが波紋を呼び、次から次へと由々しき事態を呼び込む。
私、佐々木Aは齢18、高校3年生という若さにしてこれでもかと言うほど思い知らされていた。
__そしてまたもや窮地は呼んでいないのにやって来る。
***
立ち上がって見回すとそこは知らない場所であるのだから、あら不思議。
忙しない往来。人の流れに乗れず呆ける私。
口をぽかーんと開けて佇むことしかできない。
上下左右と見回しても初めて見る光景で。
レトロという言葉が似合う古風さと混在する町並みとご対面する。
前方の立派な面構えのビルの上にそびえ立つ時計台なんて圧巻だ。
その時計台を中心に鉄筋コンクリートのビルがずらりと立ち並ぶのだが、所々に入る会社のロゴだろうか、言わずもがなでレトロ感満載。
平仮名の感じがというか、色合いの組み合わせというか、赤と黄色ってさぁ。ふふふふレトロだねぇ。
そして何より私にレトロ感を抱かせる1番の要因は大通りの真ん中を走る路面電車だと思う。
近日はあまり見かけない路面電車が何処までも続く線路と共に大迫力のスケールで眼前に広がる。まるで映画のワンシーン。
エキストラのごとく従来を歩く多くの人々が着物を纏い華を添えていた。
全くもって思考が追いつかない。
一体全体、ここはどこであろうか。
さっきまでそうだ。見慣れた通学路だった。私の優秀な海馬がそう告げる。
海馬さんには仕事して頂くことにして系統立ててまとめよう。
いつもと代わり映えしない日常を堪能し、下校のチャイムが鳴った途端にバイト先に向かった。
走ることはや十数分だっただろうか。前触れもなく突然の事であった。
尋常でない吐き気に襲われたのだ。
食道に胃液が逆流するような周到な気持ち悪さでどうにもこうのもならならず座り込む。
本格的にやばいと認識した時には既に意識が飛びかかっていた。
それでも必死に意識を保とうと拳を握りしめ奮い立たせる。
バイトには遅れられない。あんな人の良いおかみさんに迷惑なんてかけたらバチが当たる。
呪文のように心で唱えた。バイトには遅れられない、バイトには遅れられない。
すると私の根性論が通じたようで、嘘のように気持ち悪さが消え失せた。
ほっと一息つき、立ちあがると…………
そこは………レトロチックな町並みだったとさ。
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司(プロフ) - かさむらさん» ありがとうございます!ゆっくりな更新になるかとは思いますが、また覗きに来てください😊 (2022年3月10日 20時) (レス) @page12 id: a9e06ac14f (このIDを非表示/違反報告)
かさむら(プロフ) - 好きです😭 (2022年2月21日 1時) (レス) id: 4aae2010b1 (このIDを非表示/違反報告)
司(プロフ) - 返信遅くなってしまい申し訳無いです。三年ぶりの更新ですのでこのページにいらっしゃる事はないかと思いますが、完結させるまで描きたいと思います。コメントありがとうござました!! (2020年4月30日 20時) (レス) id: 619e207b44 (このIDを非表示/違反報告)
はな - 好きです (2018年10月4日 12時) (レス) id: 45985fda0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:司 | 作成日時:2017年6月12日 12時